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鉄道ジャーナリストblackcatこと加藤好啓の思索帳

鉄道ジャーナリストこと、blackcat、ちょっと硬めの内容を中心に時々書いてみようと思います。

国鉄労働組合史詳細解説 28

 皆様こんばんは、今日も国労の資料を底本に国鉄労働運動を中心とした社会史を書いてみようと思います。
当面、鉄道から離れた記述が続きますが、国労官公労の特徴として、政治ストを行う組織という特徴を述べたいのでしばしご辛抱ください。

政治ストに積極的に関与した官公労

特に国労動労は、社会党を支持していたことも有り、ストライキ社会党の行動と連動することも多かったです。

本来であれば政治的ストは、労働運動と直接関係ないのですが、当時は左派が全権を掌握していましたので、国労社会党の動きに連動して日韓基本条約批准反対の政治ストに出ることとなりました。

> 全国で延べ60万人、中央で18万人が集会、デモに参加し、60年安保闘争以来の規模となった。11月12日には、国会史上類例を見ない事態が政府・自民党によって引き起こされた。日韓条約批准案件本会議上程が一方的に宣言され、僅か2分足らずで強行採決された。政府・自民党の暴挙に対し、労働者、国民の怒りは頂点に達し、日韓条約批准阻止だけでなく、国会解散、佐藤内閣打倒の声が高まった。

この頃は、学生運動も盛んでしたので、いわゆる過激派による活動も多かったのではと思われます。

>  国労はこの暴挙に対して、東北・中部・関西(宮原)、西部の拠点で抗議ストを闘った。国労のスト決議は10月の中央委員会で行われた。国労のスト決議は10月の中央委員会で行われた。
>  ① 地方では地本と協議し、ブロックごとに1~2ヵ所の運転職場を指定し、11月12日夜から13日にかけて1時間の時限ストを決行すること、(1)ただし官憲の弾圧があったときは、2時間以上に及ぶこともあるとした。

 国鉄の場合、こうした政治ストもいわば支持する政党と連動して行われえうことが多々ありました。
また、こうしたスローガンを書くこともこの頃からよく行われていましたが。

個々での殴り書きというか檄文は、ペンキだけで書いたのではなく消しやすいように、石灰を混ぜたペンキで書かれていたそうです。
その辺は、国労動労も自分たちの飯の種を手荒く扱わなかったと言えるかもしれません。
まぁ、本当の意味ではペンキで檄文書いた時点でアウトなんですけどね。苦笑

日韓条約に反対した社会党

ここで、もう少し社会党日韓条約案件を反対した当時の様子などをもう少し詳しく書かせていただこうと思います。

社会党は、下記の理由を述べて、批准に反対するという声明を出しています。

長いですが、以下に引用させていただきますと、

> 日韓条約案件の審議の経過、その内容を見るに日韓条約、協定及び関連国内法案は無効であり、日本国憲法に違反し、また議会制民主主義の原則からみて不当なものである。
>  従って、日本社会党は、その成立を承認しない。

要は強行採決したから無効であると言っているのですが、社会党の得意戦術は牛歩戦術ですので、この辺は国会という立法府であるのならばそのような重箱の隅を突くような発言は控えられたらと思うのですが・・・。

日韓条約不承認宣言を社会党として発表

>  第一に、日韓条約案件は、審議の経過からみて、無効である。
>  衆参両院の審議において自民党は、国会法・両院の規則・慣例に違反して、日韓条約案件を強行した。自民党が主張している両院における「議決」なるものは、実際には存在せず、実は、彼らが、事後において勝手に作り上げたものに過ぎない。
>  第二に、日韓条約の内容は、日本国憲法に違反する。
>  日韓条約は、南北に分断されている朝鮮の南半部の政権を、事実上、全朝鮮を代表する唯一つの合法政権と見なして締結されたものである。そのねらいは、韓国との国交正常化を通じて、アメリカを中心とし日本、韓国、台湾などを結ぶ軍事同盟を実質的に結成させ、さらに、韓国市場への日本の独占の進出の道を開くことにある。日本は、これによって、朝鮮の南北分断の現状を一層固定化し、三十六年に及ぶ日本の朝鮮に対する植民地統治を清算するどころか、逆に、日本、朝鮮両民族の友好を妨げることになる。これは、軍事同盟への参加を禁止し、日本の安全を国際間の信義に委ねた日本国憲法に違反する。

>韓国との国交正常化を通じて、アメリカを中心とし日本、韓国、台湾などを結ぶ軍事同盟を実質的に結成させ、さらに、韓国市場への日本の独占の進出の道を開くことにある。
このように言われると次の言葉が出ないのですが、アメリカとすれば冷戦時代でありかつベトナム戦争をしていた時期でありますので、韓国・台湾・日本による防衛線の確保は喫緊の課題であったのだと思います。当時は中国よりもロシア(当時の名称はソビエト連邦共和国)に脅威を感じていましたからね。

>  第三に、日韓条約は、議会制民主主義の原則に照らし、日本国民に対し、権威と拘束力とを持たない。
>  国会が、憲法の規定するごとく、真に国権の最高機関としての機能を果すためには、国の平和と安全及び民主主義の根本に触れる重大問題は、国会において、その全貌が明らかにされ、徹底した審議を通じて国民が充分に納得した後はじめてその当否をきめることが、絶対不可欠である。しかしながら、自民党政府は日韓会談の全過程及び国会の審議において、終始一貫、その核心にふれる事項は、ことごとく、これを国民の眼から隠し、日韓条約に対する国民の疑惑が深まりつつあるその最中に、審議を一方的に打切ってしまった。これは重大問題については、国会において充分な審議を行ない、意見が対立する時は、国会を解散して国民に信を問うという議会制民主主義の基本原則に反する

参考 日韓条約不承認宣言

これも、個人的にはかなり無理があると思います。
10人いれば10人の意見は異なるものであり、国民が十分に納得というのは、あまりにも漠然とした表現のように思います。

ということで、日韓基本条約がアメリカの思惑もあったとはいえ、14年の長きに渡る交渉事態を強行採決したという物言いで決めてしまうのはどうかと思いますし、「日韓条約は、南北に分断されている朝鮮の南半部の政権を、事実上、全朝鮮を代表する唯一つの合法政権と見なして締結されたものである。」ということで、韓国側は、この条約は韓国を朝鮮として認められた(朝鮮民主主義人民共和国を包括して居ると理解していた。)ものであり、大韓民国は朝鮮を代表すると考えていたところに最初の掛け違いがあったのも事実です。

また、審議の過程において、松本七郎議員は、昭和40年10月26日の衆議院特別委員会で下記のような発言をしています。

日韓条約案件というものはきわめて危険?

第050回国会 日本国と大韓民国との間の条約及び協定等に関する特別委員会 第4号

○松本委員 私ども一社会党は、日本国民とともに、このたび上程されました日韓条約案件というものはきわめて危険な内容を含んでいると考えております。端的に申しますならば、今度の条約は、南朝鮮人民を銃剣で弾圧したあの買弁的な軍事ファッショ朴正煕政権と日本の一部支配層の政治的やみ取引の所産だと考えておるのです。そのやみ取引の実体も、だんだんこれから審議を尽くすにつれて明らかになってきます。さらに、海の向こうのワシントンからもやはり強力な支援があったということは、たび重なる日韓両政府の参観交代によっても明らかな事実であります。国民は、今度の条約を結んだ勢力、特に佐藤総理はじめ岸さん、賀屋さんらを中心とする右派勢力の責任を、五年前の安保条約の戦いを思い起こしながら、これと戦おうとしているのです。もし、かりに、あなた方が半世紀にわたるこの大陸侵略と植民統治の歴史的罪悪を真に反省したなら、私は、今度のような条約はつくらなかっただろうと思います。われわれは、この条約を粉砕してこそ、真に日本と朝鮮民族との友好親善が始まるという確信を持っているのでございまするが、佐藤総理は、このような私どもの強い確信に対して、一体どういう考えを持たれるか、この機会に率直に意見を披瀝していただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。
 御承知のように、この条約は、十四年の長きにわたる交渉をいたしております。したがいまして、この間にやみ取引に該当するような状態はございません。国民が与野党ともに監視をしている、いわゆるガラス張りのもとでこの条約交渉が行なわれた。これは国民がみんな信用しておると思います。また、ただいま米国の干渉があったというお話をされますが、これまた、さような御心配はないように願いたいのであります。いままでもしばしば申し上げておりますが、これはどこまでも友好、善隣、平和のその観点に立っての条約締結でございます。どうか、こういうことが基本でございますだけに、われわれがどこまでも善隣友好を願い、また、平和に徹しておる、そうしてその所産がただいまの条約であるという、これだけは国民の皆さまも十分御理解をいただきたい、かように私は思います。
○松本委員 それは、あなたはそう信じておられても、これから審議が重ねられるにつれて、いかに国民の疑惑が正しいものであるということは、私はだんだんわかると思います。それは今後に譲ります。
 いま総理が言われるように、いかにあなたがこの条約を善隣友好の条約だと強弁なさっても、現に調印式が行なわれた翌日の六月二十三日、この日における世界各地の反響は一体どうだったか。はっきり世界の反響は二つに分かれていた。つまり、極東における反共自由陣営の結束強化を歓迎していた、ソウルはもちろんのこと、ワシントン、それから台北サイゴン、これらの諸政府の声明が一方にありました。それから、他方には、これが極東に新しい緊張を引き起こすものだとして抗議をした、平壌、北京、モスクワ、ハノイ、こういったところの声明があったのです。このように世界の反響ははっきり二つに分かれてしまったのでございまするが、こういった日韓関係についての世界の反響、世論というものを一体どう評価されるか、この点も伺っておきたい。

 

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****************************************以下は、国労の本文となります。********************

┌────────────────────────┐
├○ 日韓会談阻止闘争から日韓条約批准反対闘争へ │
└────────────────────────┘
 日韓関係「正常化」の動きは、同時に、日本資本の韓国進出を意味し、韓国政権の経済危機対策に利用されるのではないかとの警戒が強まった。65年6月の日韓条約締結を前にして、日本では政府の日韓会談への対応を批判する世論と運動が高まった。韓国でも特に学生の抗議行動が強めれれた。
 社会党は抗議行動について、安保共闘の活動再開によって行う方針を決めた。日韓闘争の進め方では、社会党と総評は、総評を間にして社・共両党を結びつける<ブリッジ方式>で共闘をかくだいすることにし、5次にわたる共闘が展開された。65年6月日韓条約締結後、抗議行動は国会での批准反対運動に移った。11月7日、衆議院特別委員会で、政府・自民党日韓条約承認案件を強行採決した。これに怒った9日の統一行動は、全国で延べ60万人、中央で18万人が集会、デモに参加し、60年安保闘争以来の規模となった。11月12日には、国会史上類例を見ない事態が政府・自民党によって引き起こされた。日韓条約批准案件本会議上程が一方的に宣言され、僅か2分足らずで強行採決された。政府・自民党の暴挙に対し、労働者、国民の怒りは頂点に達し、日韓条約批准阻止だけでなく、国会解散、佐藤内閣打倒の声が高まった。
 国労はこの暴挙に対して、東北・中部・関西(宮原)、西部の拠点で抗議ストを闘った。国労のスト決議は10月の中央委員会で行われた。国労のスト決議は10月の中央委員会で行われた。
 ① 地方では地本と協議し、ブロックごとに1~2ヵ所の運転職場を指定し、11月12日夜から13日にかけて1時間の時限ストを決行すること、(1)ただし官憲の弾圧があったときは、2時間以上に及ぶこともあるとした。

続く

 

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