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鉄道ジャーナリストblackcatこと加藤好啓の思索帳

鉄道ジャーナリストこと、blackcat、ちょっと硬めの内容を中心に時々書いてみようと思います。

国鉄労働組合史詳細解説 43

みなさまこんにちは、気が付けば2週間ほどまた放置しておりました。
申し訳ありません。なかなか書き続けることは難しいものです。
単純に私の能力が不足しているわけですが・・・。

今回は、各種判例を参考に当時の世相などを私なりの見解でまとめてみたいと思います。

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幻に終わったスト権奪還

公務員にスト権ストは国鉄労組の敗北で終わりをつげることとなりました。

それまでは、公務員も27年ぶりにスト権が戻るといわれたものですが、その半年後には数多くの公務員労組に対する団結に関しては違憲であると言う判決が出されました。

公務員というのはその性格上から、身分の安定はある代わりにある程度の制限を受けると言うことが定められており、争議権の禁止等はその顕著な例でしょう。
一般公務員の場合は団結権は認められているものの、団体交渉権などは認められていませんでした。

そういった意味では、特に公共性の高い仕事をしていますので公務員と言うのはそういった意味では単純に労働者と言うくくりで決められないところがあるのも事実でした。

 


日本国有鉄道(現在、JRグループ)スト権スト/1975年

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スト権は取れると思っていたと談話を発表する松崎明国鉄動力車労働組合委員長(当時の役職は東京地本委員長)

公務員のストは違法という風潮は昭和48年に全農事件から始まった。

今回は、最初に「全農林警職法事件-昭和48年4月25日最高裁判決」
とはどんな事件だったのか簡単に触れてみたいと思います。

昭和33年10月警察官職務執行法改正を当時の首相であった岸信介(安倍首相の祖父)が提出した法案で、警察官の権限を強化しようとするもので、警察の業務である、「個人の生命、安全、財産保護」の観点を解釈を拡大して「公共の安全と秩序」を守ることの大義名分を果たすために、警察官の権限を強化しようとしたもので、

 

  • 警告、制止や立入りの制限の権限や
  • 「凶器の所持」調べを名目とする令状なしの身体検査
  • 保護を名目とする留置

を可能にするという内容であり、戦前の評判が悪かった「オイコラ警察」を想起させるものと言われました。

労働組合としても、「公共の安全と秩序」という名目で組合活動に介入するのではないかという疑念が起こり反対運動が起こったと言われています。

全農林警職法事件概要

全農林警職法事件も、11月5日全農林労組(総評)が職場大会の実施について、午前10時頃から11時40分ごろまでの間、農林省職員約3千名に対して職場大会への参加を仕切りに要請したことは、職務専念義務に違反しているとして、国家公務員法98条5項(改正前)改正後は98条2項に抵触するとして、起訴したものです。

参考 全農林警職法事件 - Wikipedia

  国家公務員法98条5項(改正前)改正後は98条2項

2 職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。

又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

公務員はその労働条件に制限をくわえられるのは多少は仕方がないということ

結論から言えば。
憲法28条の労働基本権の保障は公務員に対しても及ぶが、この労働基本権は、勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を免れない・・・

として、公務員がその業務の特殊性に鑑みある程度制限されるのは当然だろうと言う解釈がなされています。
当然と言えば当然なんですけどね。

これは、同じような事例として地方公務員にも当てはまるとした、岩教組学テ事件(最大判昭和51・5・21)でも同様の判例が出されています。

当然のことながらこうした判例では、公務員の準じる扱いの公社職員も同じ法理が当てはまることになりました。

国労の記事から引用します。

1975(昭和50)年のスト以来、官公労働者の労働基本権をめぐる政治・判例動向は、年々、遺憾な方向に向かっていた。最高裁判決ではすでに全農林警 職法事件判決で、これまでの判定から逆転し、スト権否認の方向が強まった。その後も、公務員の政治活動禁止を合憲とした全逓猿払事件判決(74年11 月)、学力テスト反対闘争中の説得活動を有罪とした岩手学テ事件判決(76年5月)などが相次いだ。

組合バッチや、反戦プレートも組合活動と見做される。

77(昭和52)年12月13日、最高裁は、目黒電報電話局事件に対する判決を行った。判決で、最高裁は、職員の職務行為になんら支障のない反戦プレー ト着用をとらえて、その行為は政治活動を禁止した電電公社就業規則に違反するとしただけでなく、この行為は職務専念義務にも違反し、さらに職場規律をも 乱すとして懲戒処分の対象になると断じた。つまり、職場における日常の組合活動すら否認しかねない「法の論理」が展開していた。

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ここで注目したいのは、「職員の職務行為になんら支障のない反戦プレー ト着用をとらえて、その行為は政治活動を禁止した」とありますが、こうしたワッペン類や組合バッチなども労働組合運動としてみなすという判決が(昭和52)年12月13日最高裁から出されました。

これについては、私も郵政省に勤務していましたので事情はある程度了解できます。

まず、郵政でも、反戦プレート類の着用は禁止されていたと思いますが、組合バッチについては容認されており、管理者に聞いたところ、郵政の場合労働組合とは組合バッチに関しては協定を結んでおり、組合バッチに着用は組合活動と見做さないという協定を結んでいたそうです。

なお、この組合バッチ=労働運動というルールを厳格にJRで最初に実施したのが、JR東海で、国労組合意を中心にバッチを勤務時間中に着用しているとして処分を連発したと聞いたことがあります。

その後は、バッチではなくネクタイであったりボールペンに国労のマークを入れているのはご存知の通りだと思います。

 

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画像はイメージです。

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第8節 国鉄民主化要求闘争

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 2 スト権回復立法構想の提起
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├○ 全逓名古屋中郵事件・札幌駅ビラ貼り事件最高判決 │
└──────────────────────────┘

 1975(昭和50)年のスト以来、官公労働者の労働基本権をめぐる政治・判例動向は、年々、遺憾な方向に向かっていた。最高裁判決ではすでに全農林警 職法事件判決で、これまでの判定から逆転し、スト権否認の方向が強まった。その後も、公務員の政治活動禁止を合憲とした全逓猿払事件判決(74年11 月)、学力テスト反対闘争中の説得活動を有罪とした岩手学テ事件判決(76年5月)などが相次いだ。
 77年5月4日の全逓名古屋中郵事件判決は、「公労法第17条第1項による争議行為の禁止は憲法28条に違反しない」ことを公然と結論づけ、争議行為を 正当化した。この判決は、スト権ストの半年後の判決であり、事実上、スト権ストに対する判例であった。そのうえで、さらに組合活動の自由に関する二つの最 高裁判決が出された。
 77(昭和52)年12月13日、最高裁は、目黒電報電話局事件に対する判決を行った。判決で、最高裁は、職員の職務行為になんら支障のない反戦プレー ト着用をとらえて、その行為は政治活動を禁止した電電公社就業規則に違反するとしただけでなく、この行為は職務専念義務にも違反し、さらに職場規律をも 乱すとして懲戒処分の対象になると断じた。つまり、職場における日常の組合活動すら否認しかねない「法の論理」が展開していた。
 79年10月30日の札幌駅ビラ貼り事件最高裁判決は、その「法の理論」をさらに徹底させ、当局の承認を欠いたいかなる企業内活動も許されるべきではな いという結論を導き出した。その「結論」とは、「労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物的施設であって定立された企業秩序のもとに事業の運営 の用に供されているものを使用者の許諾を得ることなく組合活動のために利用することは許されない。」というものであった。
 最高裁は、5・4全逓名古屋中郵事件判決で争議権を否認し、今度は「施設管理権」をタテに組合活動を職場から締め出そうとした。労働基本権回復のため闘っている官公労働者には。80年代を前にして憂慮すべき状況にあった。

続く

 猿払事件

猿払事件 裁判要旨

1. 国家公務員法102条1項、人事院規則14-7・5項3号、6項13号による特定の政党を支持する政治的目的を有する文書の掲示又は配布の禁止は、憲法21条に違反しない。
2. 国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法31条に違反しない。
3. 国家公務員法110条1項19号の罰則は、憲法21条に違反しない。
4. 国家公務員法102条1項における人事院規則への委任は、同法82条による懲戒処分及び同法110条1項19号による刑罰の対象となる政治的行為の定めを一様に人事院規則に委任しているからといって、憲法に違反する立法の委任ということはできない。
5. 国家公務員法102条1項、人事院規則14-7・5項3号、6項13号の禁止に違反する本件の文書の掲示又は配布(判文参照)に同法110条1項 19号の罰則を適用することは、たとえその掲示又は配布が、非管理職現業公務員であって、その職務内容が機械的労務の提供にとどまるものにより、勤務時 間外に、国の施設を利用することなく、職務を利用せず又はその公正を害する意図なく、かつ、労働組合活動の一環として行われた場合であつても、憲法21 条、31条に違反しない。

(4につき反対意見がある。)

wikipediaより引用

国家公務員法 第102条(政治的行為の制限)

1 職員は、政党又は政治的目的のために、寄付金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。

2 職員は、公選による公職の候補者となることができない。

3 職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。

国家公務員法110条1項19号 第102条第1項に規定する政治的行為の制限に違反した者
 

人事院規則 14-7 5項第3号

5  法及び規則中政治的目的とは、次に掲げるものをいう。政治的目的をもつてなされる行為であつても、第六項に定める政治的行為に含まれない限り、法第百二条第一項の規定に違反するものではない。

三  特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること。

人事院規則