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鉄道ジャーナリストblackcatこと加藤好啓の思索帳

鉄道ジャーナリストこと、blackcat、ちょっと硬めの内容を中心に時々書いてみようと思います。

国鉄労働組合史詳細解説 51

みなさま、2週間以上放置してしまって申し訳ありません。

こうした問題は正直かなり慎重を期しておかなければならないだけについつい後回しになってしまいます。

申し訳ありません、またまだまだ勉強不足の領域でありますので、間違い等は是非ともご指摘いただけますようよろしくお願いいたします。

そもそも、国鉄の赤字とは?その原因は?

国鉄の再建問題は昭和42年頃の積立金を食い潰した頃から顕著となり、それまでの国鉄>運輸省という力関係はやがて、国鉄運輸省になっていき。

運輸省による法案を通してもらわない事にはどうにもならないという形に追い込まれていきました。

その原因を探るときに、すぐに新幹線を建設した時の無茶な資金計画だとか、国鉄労使関係の悪化が原因・・・と言った風に紋切型に行ってしまう傾向があるのですが。

国鉄の赤字というのはそんな簡単なものではありません。

例えば、「国鉄労働者が悪いから」という意見だけで国鉄が赤字になったのかというと答えはNOです。

国鉄労働者の働きが悪かったから・・・多少はそうした影響もあるでしょうが、それだけではありません。

国鉄の赤字ローカル線の問題・・・実はこれはかなり大きな問題ではありました。

赤字線をさっさと廃止すればよかったというよりも、残すのであればその地域の開発をすべきであったと。そうした意味では三全総(地域を中心とした産業を興していく政策)

下記の通り、第三次全国総合開発計画から引用させていただきます。

第三次全国総合開発計画
第1計画の基本的目標

地方都市は,これまでも,周辺農山漁村を含めた地域の経済,社会,文化の中心としての役割を果たしてきたが,人口の大都市への流出を抑え,若年層の定着性を高めて活力ある地域社会を再建するために,地方都市に対する期待は一層高まってきている。しかしながら,現状においては,教育,文化,医療等に関するサービスや多様な就業の機会等において,大
都市よりも一般的に低水準にあって,若年層の定住の基礎条件はなお不備,不足であるばかりでなく,日常の生活環境についても住民のニーズとの間に乖離がある。また,モータリゼーションの進展に伴って,生活の広域化が急速に進み,これに即応する都市構造を持たないため,種々の困難に直面している。更に,一方で,急速な都市化,情報化の進展は,地方都市の生活環境の画一化をもたらし,固有の風土の中ではぐくんできた地域の文化と景観の維持,発展は困難となり,それぞれの地域の持つ個性と魅力は失われつつある。このような状況の下で,地方都市への人口の定着は着実に進行しており,今後地域の自然条件との望ましい対応関係を超えて膨張が続けば,新たな過密問題をひき起こし,市民の生活環境条件をかえって劣悪化させるおそれがある。

http://www.mlit.go.jp/common/001135928.pdf   から引用

国鉄再建特別措置法とは?

本文でも書かれていますが、国鉄労働者にとっては、35万人体制に伴う合理化による人員削減(指名解雇等ではなく、合理化による要員減と採用数減に伴う自然減)であり、労働組合にすれば労働者の減少=組合員数の減少(組合費の減少)ということで反対していたわけです。

国民にしてみれば、「地方交通線の切り捨てと国鉄運賃、料金の値上げ」を伴うものでした。

実際、この頃は国鉄運賃の値上げは毎年の恒例行事となっており、最初の30円から60円への大幅値上げ以降は、10円程度初乗り運賃が毎年上がっていました。

参考に、運賃を当時の時刻表で確認しますと。

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昭和55年10月では初乗り運賃100円、B寝台は4500円となっています。

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昭和55年10月の時刻表から抜粋

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昭和45年頃 いただき物の画像から

国鉄再建特別措置法条文

第4条のみ抜粋

(経営改善計画)
第4条 日本国有鉄道は、運輸省令で定めるところにより、その経営の改善に関する計画(以下「経営改善計画」という。)を定め、これを実施しなければならない。
  経営改善計画は、次の事項について定めるものとする。
  1. 経営の改善に関する基本方針
  2. 事業量、職員数その他の経営規模に関する事項
  3. 輪送需要に適合した輪送力の確保その他の輸送の近代化に関する事項
  4. 業務の省力化その他の業務運営の能率化に関する事項
  5. 運賃及び料金の適正化その他の収入の確保に関する事項
  6. 組織運営の効率化その他の経営管理の適正化に関する事項
  7. 収支の改善の目標
  8. 前各号に掲げるもののほか、運輸省令で定める事項
 日本国有鉄道は、毎事業年度、経営改善計画の実施状況について検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
  日本国有鉄道は、経営改善計画を定め、又はこれを変更するに当たつては、輸送の安全の確保及び環境の保全に十分配慮しなければならない。
  日本国有鉄道は、経営改善計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、運輸大臣の承認を受けなければならない。

 

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********************************************以下は、国労の資料になります。********************

 

国鉄再建特別措置法

 

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第1章、臨時=行革路線と国鉄労働組合

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 第1節 80年代初頭の情勢と国鉄労働組合
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├○ 三 国労の「国鉄の民主的再建に関する提言 │
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 これより前、1980(昭和55)年秋、国鉄労働者の大幅な削減と徹底した”減量経営をもくろむ「国鉄再建特別措置法」が国会で採択されようとしてい た。国民のとっては、地方交通線の切り捨てと国鉄運賃、料金の値上げを伴う公共交通としての国鉄の縮小・再編にほかならなかった。「国民の足を守る会」 (1972年9月結成)は法案の国会審議状況をふまえながら、80年10月23日、全文運と共催で「国民の国鉄を破壊する国鉄再建法反対中央集会」を開、 集会は「地域住民の生活交通としての国鉄地方線を存続させ・総合交通体系を確立するための運動を堅持しながら、国鉄再建法に反対するすべてのひ人びとと共 に最後まで「闘い抜く」ことを宣言し、国会請願デモをくり広げた。11月に入って法案の強行採決の迫った4日、総評が国鉄本社前で緊急抗議集会を開いて法案反対の意思を表明したのをは じめとし、連日にわたり参議院運輸委員会への傍聴行動が組織され、11日から23日にかけて総評、全交運、公労協、国民の足を守る中央会議などによる中央 行動として国鉄本社前集会と国会請願行動を行った。(11月28日、国鉄再建特別措置法成立)
 明けて1981年1月19日、国労動労は総評、私鉄、都市交、全日通、自治労全逓日教組などの各組合と学者、文化人、国民の足を守る中央会議など の支援を受けて「公共輸送優先の交通体系実現をめざす国民共闘会議」を発足させた。そして3月の第2臨調の発足、また国鉄経営再建特別措置法の公布・施行 に先立って1月27日、国労は「国民の国鉄」を目指す年来の主張を実現するために、当局に「国鉄再建についての要求を」を提出すると同時に、「国鉄の民主 的再建に関する提言」を発表した。この「提言」は、国鉄再建特別措置法の成立。施行といった新しい局面を前に、「国鉄を愛するすべての勤労国民・諸団体と 連帯行動を強める目標を内外に明らかにする」という立場からなされたものであった。
 その骨子は、①公共交通優先の総合交通体系の確立、②国鉄経営機構の民主化、③国鉄財政(予算を含む)改善、④「国民の国鉄」のための施策、⑤要員をは じめとした労働条件の充実・確保、⑥労使関係の健全な確立(スト権回復 202億損害賠償訴訟の無条件取り下げ)を主な柱としていた。主要な柱は、概ね次 のような内容からなっていた。

続く