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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 57

また、更新できないまま過ぎてしまいましたが、久々に更新させていただきます。

ちょっと適当な資料が手元にないのですが昭和57年は東北新幹線が6月23日に開業(上越新幹線は、同年11月15日)いずれも大宮からの暫定開業として新幹線が開業した時期であり、国鉄としても財政悪化と新幹線開業と言う非常に経営的には厳しい時期であり、同年3月15日には、名古屋駅で飲酒した機関士が約20㎞/hの速度で客車に衝突、大破させた事故があり、世間としても国鉄に対する目は厳しいものがありました。

さらに、マスコミによる国鉄労働者批判キャンペーンは、ある意味重箱の隅をつついたような記事も掲載されることとなったようです。

例えば、下記のような新聞の論調が見られました。
引用 国有鉄道(昭和57年5月号から引用させていただきます。)

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国鉄の5年連続値上げに国民は驚き,あきれ,憤慨している。(略〉その原因はいろいろあろうが,諸悪の根源は極度に腐敗墜落した国鉄労使のエゴイズムにあることは疑問の余地がない。朝ねぽうとか,うっかりミスとか,たるみ事故が頻発している。(略〉国鉄財政再建には精神的再建が先決である。(2. 12サンケイ)

と言った意見や、

次々と明らかにされる不祥事に対して「国鉄当局のあまりの弱腰と親方日の丸の上にあぐらをかいた,ごうまんなブラ職員たちにあいた口がふさがらない。現在国鉄は,あらゆる面で世論の大きな批判をあび,破産寸前の状態にあるという認識がいささかで、もあるのかと疑いたくなる。こんな状態では59年度末までに果たして35万人体制による国鉄再建はできるのか。(3.8サンケイ)

と言った意見もありました。

さらには、こんな仰天意見もあったのですが、この辺は当時の新聞記事などでさらにソースを探したいと思いますが、

ボーナス日は早退,雨の日の屋外作業はイヤだ,年末年始,旧盆にはヤミ休暇をといったわがまま勝手な脱線職場が、全国30カ所の鉄道管理局内すべてにあると知って驚いた。国鉄は国民の理解,信頼を得ることができなければ,とうてい再建は不可能だ。そのためには,今こそ国鉄労使が“我"を捨て,再建への熱意を具体的に示すことが先決ではないだろうか。(3. 12毎日)

実際に、そんな慣行が有ったのかはわからないですが、こうした記事がでてくるほど、世間では国鉄に対す目は厳しくなっていったわけです。

 

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国鉄があった時代 JNR-era

********************以下は、国労の本文です。******************************************

 

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第1章、臨時=行革路線と国鉄労働組合

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 第2節 80年代前半の国労つぶし包囲網との闘い
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├○ 一 マスコミの「国鉄問題」キャンペーン│
└─────────────────────┘

 反国鉄労使キャンペーンに抗して

 1982【昭和57年】2月23日、国労は総評、新産別と共に国労批判キャンペーンに抗すべく「反国労キャンペーン対策本部」を国労本部内に設置し、公労協、国民の足を守る中央会議公共交通優先国民共闘会議社会党国鉄対策特別委員会などといっそう密接な連携をとり、反国鉄労使キャンペーンに対応することにした。
 ついで3月9日、国労動労、全施労、全動労の4組合がはじめて合同中央執行委員会を開き、「国鉄問題四組合共闘会議」を発足させた。同日、四組合共闘会議は、第二臨調の国鉄『分割・民営化』、20万人体制などの策動に反対し、真の国鉄再建を目指し四組合の統一要求実現に向けて諸行動を強化することを確認しあい、全国鉄労働者と国民に訴える二つのアピールを発表した。さらに、運輸大臣の指示によって開始された当局の「職場規律総点検」通達【後述】の中から全国174箇所を独自にアンケート調査し、その結果を公表した【3月29日】。そして、その調査結果にもとづいて4組合共闘会議は、労働基準法や協約・協定の厳守を前提に①正当な理由のない早退・遅刻・ポカ休は自粛する、②いわゆるヤミ日勤は廃止する、③執務態度を厳正にしサービスの向上に努める、④拘束時間内の飲酒は止める、などの諸点を申し合わせ、「実態のともなわない手当は廃止し、制度化を要求していく」ことをそれぞれの下部機関に指示した。
 国労は82年5月12日の中央執行委員会で、反国鉄労働者攻撃に対する当面の具体的な闘い方を、要旨次のように決定した。

1.全職場で全組合員による点検・摘発運動を行う。
 点検ノートを全組合員がもち、1ヶ月間行い、結果を分解で集約し、支部・地本で分析して問題を整理し、労基署、公労委等への提訴、マスコミ発表、団交等それぞれの対応をきめる。
 この運動は、一時的ではなく長期的に考えていく。
2.当面の「職場規律改善」に対する態度として、次のことを実施していく。
 ① 現場協定の改定に反対するとともに、現場での確認・協定を守り、当局の一方的破壊に反対する。
 ② 第134回中央委員会および全国委員長・戦術委員長会議で意思統一してきた方向にもとづき職場討議を深め、組合が自覚的に意思統一をすすめていく。
 ③ 業務命令が出される場合、文書によることを要求する。
 ④ 現場段階で労使対立し問題が解決しない場合は地本へ上移するようにする。
 ⑤ 勤務・労働安全衛生等については協定・法規を守らせる。
 ⑥ 勤務・休憩時間等の一方的変更は認めない。
 ⑦ 団交権・団結権は守り不当労働行為は断じて許さない、リボン・ワッペンの着用、横断幕の掲揚等は
節目を設けて整然と行う。
 なお、国労は憶測による反国労キャンペーンと思われる新聞・週刊誌等の記事に対しては、その都度抗議すべく対応策を決め、実施してきたが、そのなかでも「産経新聞」【3月31日付朝刊の社会面】の記事は「国労の職場闘争が新任の助役を自殺に追い込んだかのように描き出している。」ことは黙視しがたいものがあるとして、大分警察署へ「名誉毀損」で告訴するとともに、同社代表取締役を相手どって損害賠償謝罪広告を求める民事訴訟を提訴した【4月23日】
 こうした状況の中で、3月30日、国鉄問題に強い関心をもつ学者・文化人による「国鉄の自主再建を願う7人委員会」が発足した。メンバーは都留重人【元一橋大学学長】、中野好天【評論家】沼田稲次郎【前都立大学学長】、松本清張【作家】、大河内一男【元東大学長】、木下順二【劇作家】、矢島せい子【国民の足を守る全会長】といった人たちで、①国鉄は民間の財産であり、効率化だけでなく国民の文化的福祉的な役割を持つことから研究する、②国鉄労使が自主的に正すべきは大胆にただし、労使協議を確立し自主的に再建の提案をする必要がある。③利用者の立場を基本に研究し、注文し、問題提起や提言を行う、の3点を決めた。国労はこの7人委員会の研究会に要請があれば協力していく考えであった。

続く