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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 60

窮地に追い込まれる国鉄

昭和57年以降、国鉄としては、減量経営を含む本格的な縮小体制に入ることとなり、ますます国鉄は窮地に追い込まれることとなりました。

国鉄の再建策は、第1次再建対策(44~47年度)、第2次再建対策(48~50年度)、「日本国有鉄道再建対策要綱」に基づく第3次再建対策(52年度において一部改正)と3回にわたって計画され実行してきましたが、過去3回とも、所期の目的を達することが出来ませんでした。

特にマル生運動の失敗以降は、管理者がモノを言えない仕組みを作ってしまったことが大きいかもしれません。

また、その後の再建計画も言わば再建のための辻褄合わせだったのではないかと言ったことを、大野光基氏の「国鉄を売った官僚たち」で書いていたように記憶しています。

ただ、何度かの引越しでその本が散逸してしまったので、また近日中に買い求めて読み直す予定にしておりますのでその際はもう少しこの話も追記できると思います。

更に私見としては、国鉄の赤字をすべて組合だけに持っていくのが良いかと言うとそうでもない部分がありと考えております。

組合を擁護するとか、当局が悪いということではなく、当時の国鉄を取り巻く雰囲気と言いますか政治がそうした体制であったと言えるわけです。

地域独占と言う名の下で国鉄に対する過大の政府の期待とそれを受けて運輸省との協調を避けてきた国鉄と言う組織にも多少の問題はあったように思います。

歴史にIFはありませんが、国鉄運輸省現業機関としての日本国有鉄道であったならば、・・・(JNRではなく、JGR japan Government Railway)になっていたらとか。

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少なくとも、政府が、「全国新幹線鉄道整備法」を出した時点で、国鉄としても政府の積極的な資金援助で建設(鉄建公団に建設をさせて国鉄は全て年賦で買い取る方式)であれば、また変わったものになっていたかもしれません。

勿論、そうしたことは今後資料などを見つけながら私自身研究させていただこうと思います。

なお、昭和57年度の国鉄改革の様子を昭和58年度の運輸白書から全文引用させていただきますと。

第1節 経営の現状と再建への取組み

2 現行再建対策

(1) 現行再建対策の経緯

  (過去の再建対策は目的を達せず)
  国鉄の経営状況の悪化に対処するため,国及び国鉄は,44年度以降,日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づく第1次再建対策(44~47年度)及び第2次再建対策(48~50年度)並びに*1(50年12月閣議了解)に基づく第3次再建対策(52年度において一部改正)と3次にわたり再建対策を講じてきた。しかし,これらの対策はいずれも所期の目的を達することができず,国鉄の経営状況は好転しなかった。
  (現在の再建対策)
  国鉄経営の危機的状況に対処すべく,政府は,54年12月29日「日本国有鉄道の再建について」の閣議了解を行い,これを具体的に実施するため,「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」(以下「再建法」という。)が55年12月27日に公布,施行された。
  再建法は,国鉄の経営再建の目標を,60年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立し,引き続き速やかにその事業の収支の均衡を図ることに置き,そのために必要な法的措置として,①国鉄の経営改善措置の確実な実施を期するため,国鉄は,経営改善計画を作成,実施するとともに,毎事業年度,経営改善計画の実施状況について検討を加え,必要に応じこれを変更すること,②地方交通線に関しては,徹底した合理化及び特別運賃の設定を行うとともに,特定地方交通線については,路線ごとに設けられる特定地方交通線対策協議会において協議を行った上で,バス輸送等へ転換するための措置を講ずること,③政府は,国鉄に対する助成措置として,国鉄の債務のうち累積赤字の一部に相当する5兆599億円について,棚上げ措置を講ずること等を規定している。
  その後,国鉄は,「経営改善計画」を策定し,56年5月21日,運輸大臣の承認がなされた。経営改善計画においては,経営の重点化,減量化と能率の向上(60年度職員35万人体制),収入の確保,設備投資の抑制,労使関係の改善等の経営改善措置を確実に実施することにより,行財政上の措置とあいまって,60年度までに一般営業損益においてできるだけ多くの益金を出し,60年度には幹線の損益において収支均衡を達成するなど健全経営の基盤を確立するとともに,61年度以降については可及的速やかに収支均衡の実現を図ることとしている。

その後の白書の中身を見ますと、国鉄を分割して・・・云々と言う話が続いています。

当時は、今までのなれ合いの仕組みが変わりつつあり、特にマル生の時には自分たちに有利に動いたマスコミが今度は反作用的に摘発キャンペーンを行うことも、組合にとってはマイナスに動いたと思われます。

 

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参考

第3次再建計画の際にその基礎となった、「日本国有鉄道再建対策要綱」全文です。

日本国有鉄道再建対策要綱」

(1) 再建の基本理念

  国鉄が,我が国総合交通体系の中で今後とも重点的に果たすべき役割は,都市間旅客輸送,大都市圏旅客輸送,中長距離・大量貨物輸送とするが,同時に,国鉄本来の使命からみて,これら以外の分野を含めた全体について,独立採算性を志向した自立経営を行うものとする。また,国鉄再建の基本は,国民に対して責任ある経営体制を確立することであり,このため,労使関係の速やかな正常化を行うとともに,①責任ある業務遂行体制と厳正な職場規律の確立,②組織及び人事制度全般にわたる抜本的改革等を中心に,国鉄経営の刷新を図るものとする。

(2) 国鉄財政の再建

  国鉄財政の再建は,51,52年度の2年間で収支均衡の回復を図り,以後健全経営を維持することを目標とし,以下の措置をとるもりとする。

 ア 収支均衡回復のための措置

 ① 過去の財政圧迫要因を除き健全経営の基盤を整備するため,累積赤字相当額の一部である2兆5,404億円について,国が20年元利均等償還ベースで利子の補給,償還額の無利子貸付けを行う。
 ② 51年度に実収37%(名目50%)増の運賃改定を行う。

 イ 健全経営維持のための措置

 ① 55年度までに5万人の要員合理化を行うとともに,要員増は厳に抑制する。
 ② 赤字ローカル線については,地域住民の利便と自立経営上の負担の程度を勘案しつつ,国鉄がその取扱いを検討することとするが,国においても積極的な支援を行う。
 ③ 貨物輸送は,現在の輸送機能の維持を前提に,当面55年度において固有経費を賄うよう所要の近代化・合理化の施策を講ずる。
 ④ 資産の有効活用,適正な処分,附帯事業の増収を計画的に推進する。
 ⑤ 国鉄の自主経営能力を強化するため,運賃決定方式の弾力化について,早急に検討し結論を出す。
 ⑥ 設備投資は,極力その効率を考慮して行うとともに,他交通投資とのバランスを勘案し利子負担の軽減を図るため,工事費補助制度は継続する。

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国鉄があった時代 JNR-era

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第1章、臨時=行革路線と国鉄労働組合

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 第2節 80年代前半の国労つぶし包囲網との闘い
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├○ 二 自民党「三塚委員会」の設置と活動│
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 続き

 具体的には、「202億円損賠の遅延、違法ストに対する処分の形骸化、ビラ貼り・らくがき等の放置、人事に対する組合の介入、どれを見ても違法精神が労使の力関係の前に屈した結果であり、経営の責任者がこれを是認しない看過したことは否定出来ない。労使関係是正にあたってまず矯すべきはこのような姿勢である」として、「法とルールを守りぬくという遵法精神の確立と管理者の一体感の回復」を要請したうえで、
(1)管理体制の強化【管理者の奴隷的状態解消・待遇改善、管理権の適正行使】
(2)現場協定の破棄
(3)ヤミ協定、悪慣行の即刻無効
(4)違法行為ストに対する厳正な措置
(5)違法ストに対する刑事罰
(6)国鉄に損害を与えた場合の求償権行使
(7)昇給・昇格協定の見直し
(8)生産性運動挫折時の約束事【紛争対策委員会の覚書等】の破棄
(9)合理化の推進
(10)配転協定に関する組合側の解釈によらない円滑な配転
(11)新入社員教育の実施
(12)便宜供与の即刻是正
(13)兼職議員の禁止
(14)乗車制度の見直し
(15)202億円損害賠償裁判の促進
などについて、「即刻行動を起こすべき」と注文をつけた。
 この「提言」は、自民党総務会で討議決定され、運輸大臣国鉄総裁へ伝達された。そして6月25日と7月2日には、三塚委員会の手による二次にわたる「国鉄再建のための方策」が発表され、87年を目処に国鉄の四島分割民営化を示唆した。

続く

*1:日本国有鉄道再建対策要綱