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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 69

昭和58年5月24日昨年の臨調答申を受けて政府は、「臨時行政調査会の最終答申後における行政改革の具体化方策について(新行政改革大綱)」を策定しました。

これは、3公社4現業のみならず、国立病院等や地方自治体まで網羅した内容ですが、特に国鉄に関する部分のみを書き出させていただこうと思います。

少し長いのですが、逐条解説を加えさせていただきます。

国鉄に関する当面の緊急対策として

国鉄経営の危機的状況にかんがみ、昭和57 年9 月24 日閣議決定日本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」に基づき、職場規律の確立、
新規採用の原則停止、設備投資の抑制、地方交通線の整理の促進等の10 項目の緊急対策を実施してきました。
各対策の進捗状況及び当面の措置方針は次のとおりである。
ア 職場規律の確立等
(ア)職場におけるヤミ協定及び悪慣行については、昭和57 年3 月の総点検の結果を
踏まえ同年9 月に再度是正状況を把握するための総点検を行った。その結果、相当
程度の改善をみているものの、なお未解決の問題もあるため、更に昭和58 年3 月
に総点検を行ったところであり、今後とも年2 回程度の総点検を行い、職場規律の
刷新とその定着を図るものとする。

職場の規律改善は2月、9月、12月と随時実施されその都度顕著な改善が見られた部分も多かったのですが一部現業では、勤務時間内入浴などが、東京・門司で見られるなどの報告がなされています。
それ以外は概ね良好な職場環境が戻りつつあると報告されています。

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国有鉄道 昭和57年12月号16Pから一部引用

公益財団法人 交通協力会   http://library.transport.or.jp/ 

(イ)現場協議制度については、国鉄当局において業務の正常かつ円滑な運営に支障が
生じないよう抜本的改正を行うこととし、昭和57 年7 月に改定案を各組合に提示
して団体交渉を行ってきた。その結果、国労、全動労とは妥結に至らず、同年12
月から無協約状態となっているが、動労、鉄労、全施労とは同年11 月末に当局案ど
おり妥結した。

国労の見解は、国労自らが述べていますが、「労務政策=国労対策の様相」だということで真っ向から反発することとなり、それまでのどちらかと言えば馴れ合い的であった国労幹部と国鉄幹部の蜜月は終わりを告げることとなります。

「少なくとも既存の労使関係を前提とする道筋で作成されていたが、基本答申をうけた政府の臨調=行革路線はその道筋を否定するもので、国鉄の「合理化」はいわば「減量合理化」ではなく「分割・民営化」を推進する施策を選択したのであった。そして、ここでさらに指摘できるのは、基本答申も触れているようにこの「分割・民営化」方策がすぐれて「職場規律確立」の問題であり、強いては労務政策=国労対策の様相を帯びきたことである。」

国労は、ILOに直接手紙を出すなどタイミング的には最悪な方法を繰り出していくのですがその辺は後ほどお話をしたいと思います。


イ 新規採用の原則停止等
昭和58 年度の新規採用は原則として停止することとした。これにより、昭和58 年
度の予算人員は昭和57 年度予算人員に比べ2 万2、600 人減と、経営改善計画で予定
していた1 万4、300 人を上回る減員とした。昭和58 年度においても、昭和57 年度
を上回る要員合理化を実施することとし、これにより昭和59 年度においても新規採
用の原則停止を継続するものとする。

私も国鉄に入りなおそうと思っていた矢先にこの採用停止の憂き目に遭いました。

歴史にIFは無いのですが、警察官にならずに直接国鉄に入っていたら、JR西日本の駅長になっていたかも?しれません。

まぁ、それは冗談ですが、結果的に昭和58年以降の採用停止によりそれでなくとも現場技術者の技術伝承が進まない中、その技術伝承が大きな問題となっています。
これは、国鉄だけに限った問題ではありませんが、レガシー系の技術に関してもある程度の人数養成しておかないといざとなったときに何もできないということになりかねないからで、こうした点は他の産業等でも重要になってくるものと思われます。


ウ 設備投資の抑制
昭和58 年度予算では、安全投資のほか東北新幹線の大宮以南の工事、通勤新線の
工事等緊急を要するものを除いて極力抑制することとし、対前年度比3、300 億円減
の7、060 億円とした。
エ 貨物営業の合理化
(ア)昭和57 年11 月15 日のダイヤ改正で、経営改善計画で昭和60 年度までに予定し
た諸施策を繰上げ実施した(800 駅・100 ヤード体制の昭和57 年度未実施)。

昭和57 年11 月15 日のダイヤ改正により、貨物ダイヤは大幅な見直しが図られ多くの機関車が余剰となってヤードに留置されることとなりました。
多くは一休車だったと思われますが、比較的古い機関車は積極的に二休車として廃車解体されてしまいました。*1

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画像 Wikipedia

動労は昭和57年のダイヤ改正で多数の貨物用機関車が余剰となったことに危機感を感じ、その後は方針転換していくことになるのですが、その辺はまた後程


(イ)昭和60 年度において貨物部門固有経費で収支均衡を図るため、ヤード系輸送の
全廃、拠点間直行輸送体制への全面転換等について検討を進めるものとする。

こちらも、昭和59年2月のヤード系輸送の廃止で幕を引くこととなり、同じく機能を停止したヤードに多くの貨車が留置されていました。

http://www.city.suita.osaka.jp/library/toubukyoten/seibijigyou/p3-3.jpg

吹田市役所 吹田操車場の歩みから引用 http://www.city.suita.osaka.jp/library/toubukyoten/seibijigyou/p3-3.jpg 


地方交通線の整理の促進
(ア)第1 次選定40 線区(約730 キロ)のうち、38 線区については、対策協議会が開
催されており、会議開始希望日が昭和58 年4 月1 日に新たに到来した2 線区につ
いても早期開催を図る。今後は、転換対策についての協議の促進を図るものとする。
(イ)第2 次の33 線区(約2、170 キロ)については、昭和57 年11 月22 日に国鉄
運輸大臣に承認申請が出されており、現在、関係道県知事に意見照会を行ってい
るところである。
(ウ)特定地方交通線以外の地方交通線の民営化等については、その進め方について検
討を進めるものとする。

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画像 第1次地方交通線 若桜線(現・若桜鉄道


カ 乗車証制度の見直し
乗車証制度については、昭和57 年12 月1 日から次のとおり大幅な見直しを行った
ところである。
(ア)無料乗車証については、職務乗車証を除きすべて廃止した。(これに代えて一部割引制度を設けた。)
(イ)職務乗車証についても、全国通用のものは廃止し、業務の遂行に必要な範囲のも
のとした。また、私鉄とのいわゆる相互乗車を禁止するための措置を講じた。
(ウ)家族割引については、大幅な縮減を図った。

家族割引証の枚数が減ったように記憶しています、昭和61年に北海道に行った際は職員家族割ではなく学割を使ったのでこの当時は既に割引証が使えなくなっていたかもしれません。当時の割引証は、全線5割引き、急行券は不要、特急券は半額、ただし、グリーン車や寝台車は割引がありませんでした。


キ 運賃の適正化等
他の輸送機関との競合関係、線区別原価等に配慮して全国一律運賃制を見直すこと
とし、その間題点についての検討を進めている。運賃上げの公共負担については、引
き続き関係省庁間で検討を進めている。
ク 兼職議員の承認の見直し
国鉄では、いわゆる兼職議員について、昭和57 年11 月1 日以降当分の間、議員と
しての任期途中にある者を除き、承認は行わないこととした。

今までは届け出すれば、市会議員等地方議員の兼職は認められていましたが、今回の方針で議員との兼職は認められない事となりました。


ケ 資産処分の促進等による積極的増収
資産処分については、昭和58 年度予算では対前年度比800 億円増の1、600 億円を
予定している。また、現在一定規模以上の未利用地等の総点検を実施しており、今後
その結果等も踏まえ未利用地の処理方法の見直し等を行い、増収に努めるものとする。
コ 自動車、工場及び病院の合理化等
自動車、工場及び病院については、現在、徹底的な合理化に取り組んでいるところ
であり、このうち病院については、既に従来の128 機関を56 機関に統廃合するとと
もに一般開放も逐次実施している。

工場及び病院の合理化により、小規模な診療所が閉鎖になった他、工場も統廃合が進められ、高砂工場は鷹取工場と合併するなど大幅な合理化が行われた。
ちなみに、現在は鷹取工場も震災後の用地提供する形で網干に工場機能を集約しているのは皆様ご存じのとおりです。

 

昭和57年9月24日閣議決定

第1三公社の改革


1日本国有似道
 (1)日本国有鉄道の改革については,第3次答申に沿って,5年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現在図る。
 (2)国鉄再建監理委員会の設置のための法律案を次期国会に提出するものとし、関係法律案の立案等諸般の準備を進める。
 (3)国鉄再建闘係閣僚会議を設置する。(「国鉄再建関係閣僚会議の設置について」(昭和57年9月24日閣議決定)参照)

 (4)日本国有鉄道の経営の危機的1状況にかんがみ、当面緊急に講ずべき対策については、早急にその実施方針を確立し,逐次これを実施に移すものとし,その細目については、別に定める昭和57年9月24日間議決定「日本国有鉄道の事茉の再建を図るために当面緊急に講すべき対策について」によるものとする。
  なお,これに伴い,当面の緊急耐策の実施の隆進右図るため,選命省及び日本国有鉄道において所要の体制を整えるものとする。

 ということで、昭和62年までに国鉄は事業再建の全体構想を設定することとされています。
この時点では臨調は分割民営化ですが、分割民営化とは書いていないようです。

 

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国鉄があった時代(企画・監修 加藤公共交通研究所)

***********************以下は国労の資料になります。*************************


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第1章、臨時=行革路線と国鉄労働組合

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 第2節 80年代前半の国労つぶし包囲網との闘い
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├○ 三 「太田労政」の展開とその特徴│
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 国鉄「分割・民営化への閣議決定

 基本答申は国鉄「分割・民営化」への手順などにも触れていたが、この答申をうけた
政府は5月24日の閣議で「行大綱」(今後における行政改革の具体的方策について)を決定し、その中で国鉄問題については、
 ① 臨調答申にそって5年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現をはかる。
 ② 国鉄監理委員会設置のための法律案を次期国会に提出する
 ③ 国鉄再建閣僚会議を設置する、などを決めていた。さらには政府は同日、「国鉄の経営は、未曽有の危機的状況にあり、一刻の猶予も許されない非常の事態に立ち至っている今やその事業の再建は国家的課題であり、政府は総力を結集してこれに取り組む所存である国鉄全職員は「このような現下の状況を改めて強く認識して再建にまい進すべきである」との政府声明を発表するとともに、臨調基本答申の「緊急10項目」の趣旨を盛り込んだ「日本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」を閣議決定した。これを受けて運輸省は、事務次官を長とする「国鉄再建緊急対策本部」を設置した。
 さて、9月24日の閣議で決定された「経営改善計画」の変更を意味していた。すなわち「経営改善計画」は、少なくとも既存の労使関係を前提とする道筋で作成されていたが、基本答申をうけた政府の臨調=行革路線はその道筋を否定するもので、国鉄の「合理化」はいわば「減量合理化」ではなく「分割・民営化」を推進する施策を選択したのであった。そして、ここでさらに指摘できるのは、基本答申も触れているようにこの「分割・民営化」方策がすぐれて「職場規律確立」の問題であり、強いては労務政策=国労対策の様相を帯びきたことである。ちなみに、基本答申では電電公社と専売公社については適用労働法に触れるのみであった。
 「行革大綱」を決定した日の閣議はまた、82年夏の人事院勧告を凍結することも決定したが、その直後に鈴木首相が自民党時期総裁選に出馬しないと表明したことから次の総裁には中曽根行政管理庁長官が選出され、11月27日に第1次中曽根内閣が発足した。前内閣でも行革担当大臣でもあった中曽根首相は、国鉄再建の緊急対策を確実に実施するために、はやくも12月27日に首相みずから本部長とする「国鉄再建推進本部」を設置した。
 こうして82年秋以降、第二臨調基本方針に基づく国鉄「改革」の店舗は加速化し、中曽根内閣の手によりて一段と仕上げが急がれ、83年4月22日、「国鉄再建監理員会設置法」(日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法)案は衆院予算委員会強行採決され、衆院本会議でも自民党公明党民社党新自由クラブ民主連合による賛成多数、社会党共産党の反対少数で可決され、参院運輸委員会を経て5月23日には参院本会議で可決・成立した。

続く
 

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*1:一休車・・・復帰前提で期間を定めて運用から外すもの、全般検査の期間を延長できる。二休車・・・廃車前提でしていするもので、余程のことが無い限り復帰することは無い車両