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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 70-2

すみません、1か月近く更新できませんでした。

今回も、国鉄再建に関する小委員会の記録を綴らせていただこうと思います。

国鉄電電公社が辿った道

国鉄改革から30年、地方交通線の分離などで、身軽になって出発したJR各社ですが、市場金利の低下と言う予想外の要因や沿線人口減少に伴う利用者の減少さらにそれ以上に過疎化が進む現状にあって、JRの位置づけを今一度考える時期に来ていると言えましょう。

鉄道輸送は、ユニバーサルサービスではなかったのか?

NTT東西会社は、NTT法により公衆通信回線網を国民のインフラと位置づけ、NTT以外の各社にも提供することを義務付けている他、ユニバーサルサービス制度として、NTT東西以外の会社も一定の負担をすることとなっているのは皆様ご存じの通りだと思います。

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ユニバーサルサービス制度について | 公開情報 | KDDI株式会社から引用

ユニバーサルサービス制度」とは、ユニバーサルサービスの提供を確保するため、ユニバーサルサービスを提供する適格電気通信事業者 (現在はNTT東日本・西日本が指定を受けています) に必要な費用の一部を補填し、電話会社全体で応分に負担する仕組みです。

改めて問われるJRは国民の財産か、否か?

今後の本格的な人口減少社会を迎え、未上場のJR北海道JR四国に関しては今一度鉄道輸送がユニバーサルサービスなのか否かと言う視点から考える必要があるかと思います。JRの場合、NTTの民営化と異なり、赤字解消・組合対策とい言った点ばかりが強調されて、分割ありきで議論が進められたことは問題であったのではないでしょうか。

さて、前置きの方が長くなってしまいそうなのですが、今回は、国鉄再建に関する小委員会の記事からお読みいただこうと思います。
第8回目は、鉄労視点からの国鉄再建問題の見解と言うことでは、細かいことが書かれていませんが翌日には、重点職場の管理職に対してアンケートが送付されていることから、鉄労からの聞き取りは、いわば証拠固めのようなところが有ったのかもしれません。なお、重点職場と言うのは、職場の荒廃が進み早急に改善を要すると思われる拠点と言う意味で、郵便局では困難局と言う名称が使われていました。

なお、会合は3日おきくらいの早いぺースで進められており、3月5日の会合では、「マル生当時の不信感が尾を引いている中で総裁通達によって現場は本気になるのか」|本当にウミは出るのか」…と言った国鉄組織に対する不信感ともとれる発言が相次いだことも国鉄の本気度がどこまであるのかを考えているとも言えましょう。

ただ、こうして国鉄当局もその実態を変えていこうと思って行動を開始していた矢先、名古屋駅で酔っぱらい運転の機関士が名古屋駅で連結すべき客車に約20㎞/hの速度で衝突し、寝台車に食い込むという事故を発生させてしまい、国鉄の職場が本当に改善できるのかと疑いを持たされる結果となりました。

第12回3月16日(火)
 冒頭、前日発生した名古屋駅構内列車衝突事故の説明が行なわれ、次いでかねて委員から要求のあった56年度昇給。営業関係昇職経路、労働処分関係訴訟、専従職員、運転検査旅費問題等について説明された。とくに名古屋駅事故は総点検中の不祥事だけに委員の間から厳しい指摘が相次いだ。

参考 国鉄があった時代 昭和57年前半

2時16分頃、機関車付け替えのため名古屋駅10番ホームでに停車中の東京発紀伊勝浦寝台特急紀伊」(14系客車6両編成)に、連結しようとしていたDD51ディーゼル機関車DD51 717)が約20km/hで衝突し、客車3両が脱線した。乗客と機関士(52)の計14人が重軽傷。
機関士が前日の夜、仮眠時間に飲酒して寝すごし、運転中も、もうろう状態だったらしい(16日夕。中村署に業務上過失致傷などの疑いで逮捕された。
この事故は、当時マスメディアを中心に展開されていた、国鉄職員のモラル欠如への批判キャンペーンをさらに強めることとなり、国鉄国労などでは、本社職員幹部を更迭するなどし、マル生運動破綻以来の労使癒着関係を解消させることにもつながった。機関車と事故列車の先頭車(スハネフ14 102)が廃車となった。

国鉄があった時代(企画・監修 加藤公共交通研究所)

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*********************以下詳細は、下記をご覧くださいませ。**********************

 第8回3月2日(火)
 労働組合からのヒヤリングの第1弾として鉄道労働組合から組合長、書記長他が出席、鉄労としての国鉄再建問題についての見解が述ぺられた。

3月3日、全国の重点職場の全管理職3,257名に対し小委員会としてのアンケートがそれぞれ自宅あて発送された。また、第8回までの審議状況が「中間報告」としてまとめら、、三塚委員長から自民党の機関である政調審議会に1日、総務会には5日に報告された。一方、このころマスコミ等で次々と明るみにされた職場規律の乱れに関し、4日運輸大臣から国鉄総裁に対し総点検の指示があり、これを受け、5日国鉄は総裁名で『職場観律の総点検およぴ是正について』の通達を発した。

第9回3月5日(金)
運輸省から前日の大臣指示について説明があった後、国鉄から当日付けの総裁通達のほか前回まで宿題となっていた勤務、昇職、昇給等について説明した。これに対し「マル生当時の不信感が尾を引いている中で総裁通達によって現場は本気になるのか」|本当にウミは出るのか」「今回が国鉄を救う二度とないチャンスだ、断固たる決意でのぞんでぽしい」等の意見が出された。
 第10回3月9日(火)
 前回に続き審議の過程で宿題となっていた回復昇給、管理者の意識調査、議員兼職、再雇用、処分等について国鉄から説明した。多くの委員から国鉄側の脱明に対し直ちには議院兼職については「時代も変わったのだから不承認とすべし」との意見が大勢を占めた。
 第11回3月12日(金)
 国鉄監査委員会から意見聴取として安居喜造監査委員長他5監査委員が出席、それぞれ所見を述べ、小委員会側の各委員からそれに対する意見を要望等か表明された。
 第12回3月16日(火)
 冒頭、前日発生した名古屋駅構内列車衝突事故の説明が行なわれ、次いでかねて委員から要求のあった56年度昇給。営業関係昇職経路、労働処分関係訴訟、専従職員、運転検査旅費問題等について説明された。とくに名古屋駅事故は総点検中の不祥事だけに委員の間から厳しい指摘が相次いだ。
 3月18日、第1回の現場視察が抜打ち的に行なわれた。三塚委員長他1名の国会議員、自民文関係者。井上東京西局長ら国鉄関係者一行14名が同日8時30分甲府駅を訪問、直ちに現場の詰所をつぶさに巡った後。駅長以下管理者と懇談し激励した。筆者も同行したが、聞きしに勝る職場規律の乱れに各委員も驚きの表情をかくさなかった。その後、大月保線区へ移動、区長以下管理者と懇談した。
第13回3月19日(全)
国会議員の中でとりわけ国鉄問題に造詣の深い細田吉蔵岡鉄基本問題調査会顧問から公社制度にまつわる諸問題を中心とした提冒を伺ったが、岡田顧問は最後に政治の責任をとくに強調された。
委員からは「国鉄問題については政治家として腹をすえでやる名娶がある」「自民党も反省する必要がある」等の意見が出された。
 瘍11回3月21日(*)
 国鉄から総点検の経過報告、名古屋駅構内列車衝突事故、浜川崎・高島両駅の運転事故、深川保線区の改善状況等につき説明した。これに対し、委員から名古屋駅事故の重大性に鑑み厳重な拠分を速やかにすべきであるとの指摘がなされた。

 3月25日、第2回の現場視察が行なわれた。今回は前回と異なり前もって予告の上、東京3局5現場を13名の委員が3班に分かれて視察した。
 第15回3月26日(金)
 前日の現場視察結果が各班長から報告された後、国鉄から総点検の途中経過報告(前日、大臣に報告)、各組合の春闘方針、職員教育等について説明した。
 第16回3月30日(火)
 労働組合からのヒヤリングの続編として、国鉄労働組合および国鉄動力車労働組合からそれぞれ個別に見解を聴取した。
 第17回4月2日(金)
 先に全国の管理職員に発送したアンケートの結果が三塚委員長から紹介され、改めて職場の実態の深刻さと管理職員の労苦か示された。また、国鉄から関連事業全般および八王子地区の不正乗車問題を説明した。
 118回4月6日(火)
 国鉄から合理化の計画と実績、団体交渉の仕組み、乗車証等にっいて説明した。合理化について三塚委員等から「年度末手当が先か、1万2000人が先かで苦労があったが、はじめて合理化を先に決定し、しかも手当は前年度より下回る率で妥結した。これは画期的なことであり管理経営権か明確に示された」との発言かあった。その他「乗車証について思い切って見直すぺきだ」などの指摘があった。
 第19回4月9日(全)
 これまでの審議の過程での主な指摘事項12項目について国鉄の考え方を改めて表明した。その項目は次のとおりである。
①202億損害賠償訴訟②現場協議制③信賞必罰④労働処分⑤紛対覚書⑤年休管理、突発休等⑦昇給管理⑧ヤミ協定等⑨管理職問題⑩施設管理権および組休⑪兼職議員問題⑫乗車征問題。今回をもって第1部の検討会は一応の区切りとなった。
 卵20回4月13口(火)
 委員長からこれまでの審爾に基づく私案が提示され、自由討議が行われたが若干の字句の修正の上で承認された。
 13日 小委員会で承認された私案は「管理経営権及び職場規律確立に関する報告」との標題を冠L、16日交通部会・国鉄基本問題調査会合同会議及び政調審議会の承認を経て同日総務会において各総務の深い感銘と高い評価の中で自由民主党の党議として決定され、翌17日、田中竜男総務会長から運輸大臣(鹿野政務次官が代理)と国鉄総裁に手渡された。

 

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