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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史 81

本日も、国鉄労働組合運動史から抜粋した内容に解説を加えながらアップさせていただきます。

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法令から見る勤務時間内入浴についての可否について

今回は、昭和57年のブルトレヤミ手当事件を端緒とした、職場規律総点検(特別監査)により、多くの悪慣行が存在したとして、「勤務時間内入浴」が大きくクローズアップされることになりました。

国労の見解とに対する当局の行動とそれに対抗する国労の闘いが描かれています。

この点について何か根拠法令は無いかと探してみたところ、

下記の通り労働安全衛生規則 の中に、勤務時間中に神体や被服を汚染する恐れがある場合と規定しており、鉄道以外の職種では危険物(化学薬品等を扱う職種等が該当します)を扱う職種など該当することがわかりました。
もっとも、入浴設備に限らず、工場内コンビナート等ではすぐに使えるシャワー設備などが該当します。

これに照らしてみると、国鉄の場合は保線区・工場や・機関区等での修繕・整備の従業員が該当すると思われます。

労働安全衛生規則 第七章 清潔(第六百十九条-第六百二十八条)

(洗浄設備等) 第六百二十五条 事業者は、身体又は被服を汚染するおそれのある業務に労働者を従事させるときは、洗眼、洗身若しくはうがいの設備、更衣設備又は洗たくのための設備を設けなければならない。
2 事業者は、前項の設備には、それぞれ必要な用具を備えなければならない。

 ただし、勤務時間内の入浴は基本的には認められないとするのが一般的であり、就業規則等に明示はなくとも社会通念上から判断しても勤務時間と含めないのは妥当という判断をされています。

勤務時間内入浴については裁判でも争われた

なお、実際に勤務時間内入浴に対して、賃金がカットされたことに対して、「国鉄蒲田電車区事件」として裁判が起こされた事例がありますが、昭和59年(ワ)第5507号事件として裁判が起こされますが、昭和63年2月24日に判決が出て原告の申し出は却下されています。

その一部を引用します。

主 文
原告らの各請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
事 実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告は原告らに対し、それぞれ別紙債権目録(一)及び(二)中の「請求債権額」欄記載の各金員及びこれに対する昭和五九年五月二七日から各完済に至るまで、それぞれ年六分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 第一項につき仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨

中略
(三) 本件労使慣行の合理性
(1) 洗身の必要性
原告ら車両検査、検修係員らの担当する交番検査や台車検査等の業務が身体の著しい汚染を伴うものであることは、前記(一)に述べたとおりであり、この様な原告らの身体汚染の実態からすれば、原告らは作業終了後は身体を洗浄しなければ、公衆に触れあるいは交通機関を利用して帰宅することは困難であり、また、身体汚染の洗浄は原告らの衛生保持上も必要不可欠であり、したがつて、原告らが作業終了後に洗身を行うことが必要であることは明白である。至るまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

上記の裁判では、業務の内容に照らして入浴は妥当であり、労働安全衛生規則から見ても被服等が著しく汚損する職場であると強調しています、しかし裁判の判決では、そうした慣行が。

被告の現業機関である駅、機関区、電車区及び保線区等は、列車の運行に直接関係のある職場であるところから、突発事故等の緊急事態が発生した場合には、早急に措置を求められることがあり、その場合は、関係職員は、直ちに事故の復旧及び列車の運行にかかるそれぞれの担当作業に従事しなければならないから、勤務時間内に洗身入浴することは、右緊急事態に直ちに対応することができないことになり、被告の業務の正常な運営に支障をきたす虞れがある。それゆえ、かかる違法な行為はたとえそれが事実上継続反覆されていたからといつて、慣行として成立する余地はない。

として、仮に過去からの慣行で時間内入浴が認められていたとしても、突発事故の対応が出来ないからそれは慣行と認めないと切り捨てています。

全文は下記をクリックしてください。

国鉄蒲田電車区等職員賃金カット - 昭和59年(ワ)第5507号 - 東京地方裁判所

国鉄当局としてみれば、炭鉱でも終業時間前入浴は認めていないと言うか、勤務時間と看做さないのが一般的ですので、国鉄もそうした例を参考に自民党のバックアップを受けながら職場総点検を行ったと思われます。

国労は入浴禁止に対して拒否行動を指令

国労はこれに対して、過去からの慣例であるとして、昭和57(1982)年9月22日「入浴規制反対闘争を強化」するよう指令を発しますが、これに対して当局は公然と対抗措置を講じてきた。とりわけ、門司、東京(三局)、大阪の各鉄道管理局管内において厳しい措置を一方的に行なってきた。

と書かれていますが、昭和57(1982)年の監査報告書には下記のように書かれています。

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第1章、臨時=行革路線と国鉄労働組合

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 第2節 80年代前半の国労つぶし包囲網との闘い
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二 臨調基本答申に対する国労の対応とその後の闘い

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├○ 三 臨調=行革路線に基づく国労攻撃との闘い│
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 勤務時間中流身(入浴)など職場慣行を守る闘い

 当局の「職場規律総点検調査」結果(82年4月22日)にもとづいて、いわゆる「悪慣行是正」の措置が一方的に強化されるなか、国労および四組合共闘会議は、従来から国鉄職場において反復・継続され確立されてきた職場貫行について『正すべきは正すと述べてきたが、この年7月29日から第44回定期全国大会(東京・日比谷公会堂)でも、この問題に議論が集中した。。国労はすでに第39回定期全国大会(77年8月新潟)において、自主的規律の確立によって自覚的な団結を固めなければ圧倒的多数の勤労国民に支持されないことは明らかである。職場からの闘いを強めるために、要求と運動が『社会的妥当性』を持つことが必要であり、その内容は『労働者の尊厳と自由民主主義』の見地から、要求が当然であり、多くの労働者と進歩的勢力から理解と支持を得られるものということである。こうした見地に立つのが『正すべきは正す』という方針である。
 第二に、『職場規律を乱すことは悪である』といった自民党当局・マスコミの態度は悪意に満ちている。労使の団体交渉の結果、協定や慣行が成立し、この諸協定や慣行を守ることが”職場規律”である。現場協議で確認してきたものであっても、現場長の”権限と責任"をこえるものは無効であるとして、これを当局が一方的に破棄してきているが、これも地方や各職場で労使が遵守するのは当然のことである。
 さらに、日常の労働組合活動や就業時間内入浴に対する攻撃についても、同大会では『労働条件や労働組合活動などの諸権利は職場を基礎とした闘いによって向上・維持される。しかしそれらの諸権利獲得が一部の地域や職場、職能だけに限定されているのでは十分なものとはいえない。全国の職場を見ると諸権利の獲得状況にアンバランスがある。その点の克服が急務である』との認識を組合員に示した。」

この全国大会五、中央闘争委員会は直面している情勢について「最近起きている職制による横断幕の一方的撤去、リボン、ワッペンに対する過度の干渉、カベ新聞の撤去など日常組合活動に対する介入や入浴時間問題に見られる専制的な労務管理が増大している」と分析し、こうした「当局の労働組合無視、職場の労働組合運動圧殺の攻撃は一層強まるものとみなければならない」として抗議交渉を含めたねばり強い闘いを、あらためて呼びかけた。
 さて、この第44回定期全国大会後まもなくして、勤務時間内の洗身(入浴)慣行に対する攻撃が一段と強められた。
 国労は「勤務時間中(現行の入浴時間)の入浴禁止について業務命令が出された場合は拒否する」、業務命令への抗議として「時間外の抗議交渉」を行い、地方調停委員会の活用を含めて入浴規制反対闘争を強化するよう指令を発した。(82年9月22日)この指令を受けて入浴規制反対の取り組みが全国各地で開始されるや、当局は公然と対抗措置を講じてきた。とりわけ、門司、東京(三局)、大阪の各鉄道管理局管内において厳しい措置を一方的に行なってきた。

続く