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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 52

 

みなさん、こんばんは。

また2週間近く空けてしまいました。

宜しければお読みくださいませ。

今回は、適切な資料が見つけられなかったので、主に私見を述べさせていただく形になるかと思います。

前回の記事を引用させていただきます。

国労が提唱した「国鉄の民主的再建に関する提言」は注目

国鉄再建についての要求を」を提出すると同時に、「国鉄の民主的再建に関する提言」を発表した。この「提言」は、国鉄再建特別措置法の成立。施行といった新しい局面を前に、「国鉄を愛するすべての勤労国民・諸団体と 連帯行動を強める目標を内外に明らかにする」という立場からなされたものであった。
 その骨子は、①公共交通優先の総合交通体系の確立、②国鉄経営機構の民主化、③国鉄財政(予算を含む)改善、④「国民の国鉄」のための施策、⑤要員をは じめとした労働条件の充実・確保、⑥労使関係の健全な確立(スト権回復 202億損害賠償訴訟の無条件取り下げ)を主な柱としていた。主要な柱は、概ね次 のような内容からなっていた。

f:id:whitecat_kat:20161005215607g:plain 引用 国労着メロ・マーク

国労としては、政府が国鉄再建特別措置法(大幅な合理化・ローカル線の廃止を含む)が成立したことから、ストによる要求貫徹からその方針を国民の心情に訴えようといしたと言えます。それが、「国鉄の民主的再建に関する提言」でした。

上記にも書かれていますが、ローカル線廃止反対を暗に差しているであろう。①公共交通優先の総合交通体系の確立、でしょう。

ただ、③国鉄財政(予算を含む)改善、④「国民の国鉄」のための施策、・・・・これらは評価は出来るのですが、⑤要員をは じめとした労働条件の充実・確保、⑥労使関係の健全な確立(スト権回復 202億損害賠償訴訟の無条件取り下げ)の2点は、人員削減を伴う合理化や、一度は否定されたスト権を公共企業体職員のままで認めようということで、全体から見ると、どこまで国民の理解を得られるのかなと言うところがあるように思います。

ただ、一部地域では団体旅行の募集などを駅長が中心になってセールス活動を行うなど積極的に増収にもめむきになるなど、徐々に国鉄も代わっていく時期であったたのですが、その取り組みはまだまだでした。

国労の提言で注目された、 「交通省の設置」

さらに国労が提唱した、「交通省の設置」については、建設省運輸省が合併して国土交通省が誕生しましたが、国労が提唱しているような「総合交通審議会」と言えそうなものはいまだに誕生していません。

現在の交通問題の一番の問題は、補助金まみれで使わない道路や空港が作られて結果的にそれが地方の財政を圧迫している部分もあるのではないでしょうか。

特に地方空港の場合、LCCを就航させるには、飛行機の利用時間制限(22時以降翌7時までの使用禁止)などの問題や、空港からの交通アクセスを整備しないと絵に描いた餅になってしまうでしょうし。

f:id:whitecat_kat:20161005215853j:plain

インバウンドで外国からの観光客を呼び込んだとしてもそれを受入れるだけの仕組みがないと結果的には、上手く行かないと言った問題も生じるかと思います。

「総合交通審議会」が出来ていれば・・・。

本題から離れていますが、本来は国労が提唱するような「総合交通審議会」のようなものが設置されて、高速道路と鉄道が融合する(例えば、阪急京都線に誕生した「西山天王山駅」のように、鉄道と高速道路が一体化)施設などの建設をすべきだと思うのですが、こうした仕組みが30年ほど前に出来ていれば日本の交通状況も変わっていたのではないかと思うのは私だけでしょうか。

f:id:whitecat_kat:20161005215343j:plain

画像 Wikipedia 西山天王山駅

www.hankyu.co.jp

歴史にIFは無いけれど。

歴史にIFは無いですが、高速道路・鉄道・空港などの設置を省益・業界別の利益ではなく横断的かつ総合的に判断する仕組みが当時に出来ていれば、今ほどの地方の疲弊は無かったと思うのは私だけでしょうか。

以下、地方の在り方については後日、こちらで扱いたいと思います。

 

個々の国労の、提言内容に関しては後日改めて別の章で検討してみたいと思います。

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*************************以下は、国労の資料になります。************************


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第1章、臨時=行革路線と国鉄労働組合

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 第1節 80年代初頭の情勢と国鉄労働組合
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┌───────────────────────┐
├○ 三 国労の「国鉄の民主的再建に関する提言 │
└───────────────────────┘

続き

 ① 交通省の設置、運輸、建設、自治省に分散している交通運輸行政を「交通省」の設置により一元化し、所管の一元化に伴って、運輸審議会、道路審議会な どの交通運輸関係審議会、委員会を「総合交通審議会」に一元化する。審議会の構成は利用者、関係労働者代表を含めたものとすると共に、国民、利用者のニー ズの多様化、都市と地方の特性に応えた行政を実現するために、権限の大幅地方移譲を行う。
 ② 国鉄民主化国鉄の運営・経営については意思決定機関として「国鉄経営委員会」を設置し、執行機関は現行の国鉄理事会とする。運営・経営の国民的監 査を実施するために、国鉄監査委員会を独立した機関とする。また、利用者のニーズに応えられる体制を確立するために、ダイヤ、車両運用、施設の活用及び営 業諸活動についての諸権限を地方に移管する。
 部内の職業的、専門的養成教育の充実。強化、地域に密着し利用者のニーズに応えられる人的配置、現行の選考上制度の弊害の是正、公安官及び運輸長制度の廃止など組織、職制、人的運用の民主化をはかる。
 ③ 国鉄財政の改善構造的欠損については国鉄と政府の責任分野を明確にし、その制度的解決をはかる。
 旅客・貨物誘致システムの開発、ギフト乗車券の開発、高架下の有効活用、貨車のボデーなどを利用した広告の開発などによる利用の拡大と増収努力を行う。
他方、入札制度の改善、不要不急の工事費・物件費の10%節約、割高な契約単価の是正などによる経費削減をはかる。
 ④ 国民の国鉄とするための施策現行制度の拡大など、運賃・料金の改善をはかり、利用者の要求に応えるダイヤ改正や車両の改善、駅前広場の解放、特急・ 急行列車への定期券による乗車制度の拡大など、利用者ニーズに応える措置をとる。また、地域住民の健康保持と施設の国民的活用をはかるために国鉄病院を一 般に開放する。
 設備・車両の有効活用による荷主のニーズに応える輸送サービスの提供など貨物輸送の改善をはかる。
 ⑤ 総合交通政策の推進公共交通の今日的危機は政府のかたよった交通・投資政策及び競争主導型の交通政策にあり、これらを是正し、調和のとれた公共交通 の維持と国民の足を確保するため、総合交通特別会計制度の確立、大都市交通圏の共通定期券と一元的な管理、マイカーの規制、トラック輸送に対する規制、公 共交通の充実と強化などの措置をととる。
 ⑥ 国鉄運賃値上げ反対、今日の国鉄においては、運賃値上げによる増収再建は困難であり、逆に客離れにより「国民の国鉄」といった機能が失われることに なる。それゆえ、構造的欠損の処理、増収努力、経費節減、国民、利用者のための諸施策をとりう、国鉄運賃値上げは中止する。
 ⑦ 地方交通線の切り捨ては、「地域住民の足」の切り捨て、また、地域の産業、文化島の面を含め地域社会の破壊計画である。地方交通線の廃止政策に反対する。
 ⑧ スト権をはじめとする労働基本権の確立スト権をはじめとする労働基本権の確立、損害賠償請求訴訟の即時撤回が広範な国民・利用者・地域住民の期待に応えて国鉄を再建飼していく必須の条件であり、真に健全な労使関係を確立する基本である。

続く