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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 66

皆様こんにちは、久々に国鉄労働組合史をアップさせていただきます。
最初に、再建管理委員会提出した基本答申に対する各党の思惑について簡単にまとめてみたいと思います。

各政党ごとの国鉄改革案

管理委員会の主張に沿った賛成派

自民党民社党公明党新自由クラブなどによる分割民営化容認派

自民党は監理員会答申を尊重

公明党は本州を含めて5分割ただし、貨物も分割して書く分割会社に割り振り

社会党、民営のニュアンスが異なり、70%以上の株式を政府が保有した特殊法人で、民営的手法を経営にとり入れて全国一社制を維持しようとする内容で、むしろ国鉄当局の案に近いものでした。

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国鉄当局案は分割反対、特殊会社

なお、国鉄当局の案は

全国一社制を当面維持するとして、国の全額出資による特殊会社として民営化。

経営責任を明確化するために地方への権限移譲を進め事業運営の効率化をはかる。

  1. 事業はもっぱら幹線系を経営
  2. 地方交通線については全額出資の株式会社として分離
  3. 北海道及び四国については、民営による経営が困難であるが、国の政策判断により特別な措置が施されるのであれば分割して別経営を容認

さらに、長期債務の棚上げや年金負担への助成、子会社化した地方交通線への助成

などを政府に求める。

言わば儲かるであろう幹線系は運営しますが、地方ローカル線と呼ばれる部分は子会社化してそこで発生する赤字は負担してください。

過去の長期債務も帳消しにしてください・・・ということで、国鉄にとっては都合の良い内容でしたがこれが反映されることはありませんでした。

ただ、実質的に北海道と四国も経営できるように措置を取ってもらえれば分割しても良いよ・・・いわゆる分割容認でした。

 

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参考 国鉄問題社会党案(日本鉄道株式会社法案)に関する覚書

https://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/2108/1/A03890546-00-062010001.pdf

 対立する国労と当局

 国鉄としては、今までの労使の癒着ともいえる形式的な対立から一転、当局と組合が対立する形をとることで、国鉄自らが変わったことをアピールする形となりました。

その背後には、国鉄組織を温存させたいという国鉄幹部の考え方が色濃く残されたと考えるのは考えすぎでしょうか。

以下は、大原社会問題研究所

「日本労働年鑑 第57集 1987年版  II 分割・民営化路線と国鉄当局の対応」

から引用した内容ですが。

国労が『正すべきは正す』という視点から、労使は話し合おうと呼びかけても、これに応えないばかりか、これは本来当局の労務管理権の問題であり、労働組合と話し合うつもりはないと一方的に実施している。

と言った恨み節が聞こえてくるように、敢えてそうし態度を取っていたのではないかとも思えるのです。

以下、長文ですが全文引用いたします。

この間の国労国鉄当局との関係と労務政策の内容を国労の「太田労政を糾弾する決議」(八二年七月七日)でみると、つぎのように述べられている。

 「今年に入ってから『太田労政』は国労否認を顕在化してきたが、最近の鮮明化は異常なほどである。たとえば(1)『職場問題』について国労が『正すべきは正す』という視点から、労使は話し合おうと呼びかけても、これに応えないばかりか、これは本来当局の労務管理権の問題であり、労働組合と話し合うつもりはないと一方的に実施している。(2)ブルートレイン検査旅費問題は古くからの慣行、協定にもとづくもので、国労が労使の話し合いを求めたにもかかわらず、これは労使の問題ではなく、職員個人と管理局長との関係であるとして、訴訟にふみきった。(3)近く『現協協定』の改訂と『緊急一一項目』について労働組合に提案するときく。しかも提案は期限付とし、まとまらなければ破棄または実施するといっている。まさに、労使関係は形式さえととのえればよく、実際は力でおしまくるという態度である。」

 こうした国労の批判にみられるように、国鉄内の労使関係は国鉄当局の交渉拒否または形骸化によって、緊張したものに変わったのである。

 

oohara.mt.tama.hosei.ac.jp

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