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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 94

本日も国鉄労働運動史を底本として、昭和59年2月以降の労働運動について見ていきたいと思います。

構造的な余剰人員【過員】問題

過員の問題は、昭和58年頃から顕著になってきたようで、運転職場などでは一足先に昭和57年頃から、発生していたと思われますが、国鉄部内誌、国鉄線 昭和60年1月号の記事によりますと、天王寺鉄道管理局では昭和58年12月21日に実施された、CTCの使用開始に伴い、余剰人員が発生したと記述されています。

国鉄があった時代を参照しますと、下記の記述を見ることが出来ます。

紀勢本線 亀山~新宮間、参宮線 多気~鳥羽間CTC使用開始 12/21

国鉄大阪電気工事局と天王寺鉄道管埋局が57年10月から60億円を費して行った紀勢本繰亀山~新宮間と参宮線多気~鳥羽間のCTC化が完成、使用を開始・制御所は亀山で、同局管内のCTC化は69%の進展率

国鉄があった時代(企画・監修 加藤公共交通研究所)

 このCTC化により、過員が発生しましたが、下記のようなユニークな方法で過員を改称したとしています。

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御坊駅を発車する381系くろしお

管理局における過員問題の取組

その取組とは、観光ガイドブックの作成でした、国鉄職員自らが歩いて集めた情報をまとめたもので、「南近哉のハイキングガイド」は、好評であったと言われています。
その取組に関する記事が、国鉄部内誌の「国鉄線昭和60年1月号」に有りましたので、少し長いですが、記事を引用させていただきます。

国鉄の余剰人員問題は、今や国家的課題になりつつある。それだげに、われわれも全局をあげて、真剣に取り組んできたところである。
当管理局において余剰人員が発生したのは、58年12月紀勢本線 亀山~新宮間及び参宮線のCTC化と停留所化を実施した時点である。これによる職員の配転をどうするか、余った人の使い方はどうするか、大変な問題であった。いろいろ考えた結果、営業部の事務分掌にもあるとおり、調査開発の仕事がつい忙しさにとり紛れ十分行われておらず、またこれらの調査資料は、営業戦略上非常に大事な役割を持っていること等を考え、59年2月に営業部に臨時調査開発室を発足させ各同年三月下部機関として各運輸長室の所在駅に五室を開設した。
その後、本室4名、各室5名、総勢29名で出発し、今日まで大きな成果をあげている。
すでに刊行した一部を紹介すると、「南近畿の年中行事」、「夏のレジャー情報」、「南近畿のハイキングガイド」等で、いずれも職員が自分の足で歩き、目で確かめて集録したものである。中でも、「南近哉のハイキングガイド」は好評を博し、関係自治体や学校関係、個人愛好者からの引き合いが多く、たちまち品切れになった経緯がある。これらの資料が、これからの増収対策に役立つことを期待している次第である。

今でも中古本として流通しているようなので、また購入してみようと思っていますが、国鉄当局側の取組としてはユニークなものだと思ってしまいます。

下記は、記事のキャプチャ

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国鉄線昭和60年1月号

自動車駐車場や自転車置き場の運営なども計画

国鉄は、合理化により発生する過員を吸収すべくあらゆる取組を各管理局で行っていましたが、合理化による要員減少に新たな仕事の開発が追いつかず、特に昭和59年2月の輸送システム変更では、構内係や機関士等、駅務員以外で、多数の過員が発生することとなりました。

その対策として、学園での教育の上、増収対策要員として弁天町他75駅【天鉄局管内】や車掌区などでの特別改札要員などとして配置したほか、自動車・自転車整理場を設置していくなど、要員対策を併せて行ったと書かれています。

再び、引用してみたいと思います。

学園教育・増収対策要員として、59年3月に290名を弁天町他75駅に、また80名を亀山車掌区他四車掌区にそれぞれ配置をし、学園教育については計画通り実施終了している。増収対策としては、特別改札を例にとると、五十九年度上期において、1億9000万円を売り上げ、58年度上期の96OO万円に比較して198%の成績となっている。
その他の余剰人員対策としては、59年9月、各部のエキスパートを集めた要員管理室を発足させ、余剰人員対策に取り組んでいるが、その一つとして、59年2月の貨物廃止によって生み出された用地の暫定利用を考えて、直営の自動車・自転車整理場を計画し、五十九年十月から紀伊田辺駅で、同年11月から王寺・高田駅で、同年12月から松阪・紀三井寺駅でそれぞれ営業を開始している。営業収入は59年12月5日現在で440万円の実績であるが、いずれも計画を上回る成績で推移している。この要員は22名で、営業関係職員のみではなく、運転関係職員も含め運用している。残る三駅は年度内の営業開始を予定しており、既設の自動車整理場5駅、簡易自動車整理場45駅を加えた収人は約2億円を予定している。

 

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国鉄線昭和60年1月号から引用

これ以外にも、弘済会売店の一部を借り受けての受託販売等も計画していたとされています、このように管理局単位では新たなビジネスを立ち上げるなどして、過員を吸収しようとしていました。

今回の内容は天鉄局の例を挙げましたが、それ以外の局でも創意工夫して取り組んでいたようであり、機会があればここに取り上げてみたいと思います。

国労の過員活用は、ワークシェアリング

国労が「輸送サービス・安全確保に関する緊急要求」当局に申し入れた意図は少し違ったようです。

国労の意図としては、

週40時間を超える勤務の時間短縮、年次有給休暇の完全消化、年間を通じた非稼働日に対応する要員の配置、波動時期・多客輸送時間帯における要員配置の充実

と言った方策であり、本来業務に就かせたたまま。ワークシェアを求めていたような内容と言えそうです。

結果的には、国労の申し入れは認められず、

当局の回答は「現行ルールの範疇で要員運用する場合は当局の責任で行う。」との域を出なかった。

ということで、国労は、公労委へ調停申請を行うことになり。

最終的な公労委の調停案は、国労の主張に沿ったもので

「いわゆる過員にかかわる要員運用策の実施に伴い労働条件に変更が生じる場合には、労使は、中央及び地方の対応機関において、具体的に問題を提起し、団体交渉などにより、その事業の早期解決に務めること」という、

国労としてはこれを受諾し、その趣旨をいかせるように対処することを決めた。

と書かれています。

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第2章、国鉄分割民営化攻撃と国労攻撃

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 第3節 59・2ダイヤ改正後の余剰人員対策をめぐる交渉
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 一 余剰人員対策の交渉と闘い

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├○ 余剰人員対策についての交渉と公労委の調停│
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 国労は、1984年6月1日に過員問題の解決のための1月12日の要求【前述】に続く再申し入れとして、次の「輸送サービス・安全確保に関する緊急要求」を当局に提出した。

 「過員問題解決のために団体交渉を誠実に実施し、雇用安定協約、、配置転換協定の遵守、強制配転の中止、サービスと安全確保を強化する体制の整備、週40時間を超える勤務の時間短縮、年次有給休暇の完全消化、年間を通じた非稼働日に対応する要員の配置、波動時期・多客輸送時間帯における要員配置の充実、労基法、労安法等の諸法規遵守、雇用不安をおこす合理化の中止、技術教育・訓練の充実・強化、業務委託の拡大中止、安全輸送の確保とサービスの向上、営業・販売体制の強化・充実のための過員の積極的充当をすること。」

 ところが国鉄当局は、この要求書の提出の4日後の6月5日、2万5000人縮減の84年度要員計画と「余剰人員対策」を細田運輸大臣に報告するとともに「余剰人員対策について」を発表し、その内容を公にした。この「余剰人員対策」は84年度の要員計画を実施しても3,000~5,000人の余剰人員が見込まれるために、① 勧奨退職の促進など退職制度の見直し、② 退職前提休職、復職前提休職など休職制度の改定・拡充、③ 派遣制度の拡充、を図るという三項目の内容であった。当局はこの「余剰人員対策について」を各組合に提示し、具体的内容については7月中旬に明らかにする。
 また、「余剰人員対策」の円滑な実施を前提に雇用安定協約を締結するとの提案も行った。
 この直後に開かれた国労第141回拡大中央委員会(6月6日~7日)は。過員問題を中心に論議がかわされ、次のような当面の闘争方針を決めた。

 「本部は達194号を認めない立場から過員問題を追求し、『団体交渉による解決を目指す。』あわせて、院内闘争を強化し6月末までの間の経緯によって公労委活用についても緊急に検討する。このため、当面、過員問題の先行解決をもとめ新たな合理化提案は受けない。各地方は統一して協定違反の配転、物販、出向などは拒否して闘う。過員問題の解決と労働基本権を守ることを中心としたワッペン着用闘争、非協力闘争、現場長に対する集団行動などを展開する。」、「労働基準(労基)法労働安全衛生(労安)法等に基づく点検・摘発行動を強化する、また強制配転を許さない闘いを強化する。」

過員問題解決のための緊急要求についての国鉄本社との交渉は、6月14日から始まった。
しかし、交渉は遅々として進まず、当局の回答は「現行ルールの範疇で要員運用する場合は当局の責任で行う。」との域を出なかった。当局は、① 余剰人員対策③項目提案の早期の確立、有効活用を前提に雇用安定協約を存続する、② 労働時間の短縮は問題とならない、③ 部外能力活用が望ましい事柄については業務委託を行う、などと主張した。そして、「全体として効率性が低い中で、・・・・むしろいっそうの効率化が至上命令である」との回答を繰り返すだけであった。
 このため、国労は7月5日で交渉を打ち切り、翌6日に公労委へ調停申請した。調停を求める事項は次の二つである。① 一時的に「過員」となる労働者にかかわる労働条件は団体交渉を行い、意見の一致を期すこと。② 「過員」にかかわる具体的労働条件は従来の協定及び労使慣行に基づき地方・現場で交渉することの二つにつき調停申請した。
 公労委での事情聴取が7月17日から始まり、24日の第2回の事情聴取を終えた後、公労委の調停案が示された。調停案は、「いわゆる過員にかかわる要員運用策の実施に伴い労働条件に変更が生じる場合には、労使は、中央及び地方の対応機関において、具体的に問題を提起し、団体交渉などにより、その事業の早期解決に務めること」という、ほぼ国労側の主張を認める内容であり、国労はこれを受諾し、その趣旨をいかせるように対処することを決めた。

続く