引き続き、職場規律の確立などに踏み込んだ、小委員会の第2部をアップしたいと思います。
当時の様子をご覧いただければと思います。
ここで注目すべきは、当時の自民党の考え方は、必ずしも分割民営化が答えだと思っていない点だと言えます。
「分割、民営論は出口論であるべき、最初に分割民営ありきという臨調側の議論は入口論だ。」
この発言は大いに注目すべきだといえますね。
「国鉄再建に関する小委員会」の開催日とその内容
- 第20回 4月13日(火)委員長から審議に基づく私案が提示され、若干の字句修正の上で承認。
- 4月16日(金)「管理経営権及び職場規律確立に関する報告」との標題を冠し、交通部会・国鉄基本問題調査会合同会議および政調審議会の承認を経て同日総務会において自由民主党の党議として決定
4月17日(土)田中竜男総務会長から運輸大臣と国鉄総裁に手渡された。 - 第21回4月20日(火)国鉄の財政問題というテーマで
- 財政状況の推移
- 損失の分析
- 長期債務と累積赤字
- 地方交通線収支と島別収支
- 貨物赤字と貨物合理化
- 退職金・年金の推移
- 利子の推移、投資の推移
等について審議
- 第22回4月22日(木)国鉄が自民党小委員会に対し、運賃改定の経緯、運賃制度の現状と今後の方向、資産処分の実績と今後の計画について説明。委員からは「毎年運賃値上げは問題だ、土地についても赤字だから売ればいいは困る、地域社会との調和も考えるべきだJ等の意見がある
- 第23回4月27日(火)国鉄の年金問題を審議。また、3月5日付通達に基づく総点検結果について国鉄から報告
- 第24回4月28日(水) 国鉄の経営形態について自由討議
大部分の委員の意見は「分割、民営論は出口論であるべき、最初に分割民営ありきという臨調側の議論は入口論だ。都市の立場からのアプローチでなく日本の国土の中での鉄道のあるべき姿の議論が前提にあるべきだ」という考えであった - 第25回5月7日(金)三塚委員長から5月1日に行なわれた臨調との意見交換の報告、続いて貨物問題および自動車、船舶問題について審議
- 第26回5月11日(火)投資および過去債務について審議
- 第27回5月13日(木)歴代運輸大臣、国鉄基本問題調査会長会議とし、臨調から加藤寛第4部会長他を招き部会報告の骨子(項目〉を聴取、質疑の後、大臣、会長経験者のみによる討議を実施。
- 第28回5月14日(金)鉄道病院および工場について審議。
以後は、財政経営論の小委員会案作成ならびに、現場調査等をすることを表明 - 第29回5月18日(火)前日の臨調各部会の報告発表を受け、臨調佐々木次長から部会報告の概要を聴取並びに質疑。
- 5月20日(木)小委員会、中央鉄道病院および大宮工場視察
- 6月1日(火)吹田操車場および京都自動車営業所大阪支所を視察
- 第30回6月18日(金)前段として総点検結果報告以後の状況説明を国鉄から受ける。各委員から是正状況が十分でないとして、厳しい指摘が相次ぐ
- 第31回6月25日(金)これまでの審議をふまえた「国鉄再建のための方策」が成文化、了承された事を受け、小委員会から交通部会・国鉄基本問題調査会合同会議に切りかえ、承認手続がとられた、小委員会は第2部ともいうべき財政、経営問題に討議を移すことに。
従来の再建論と一線を画す小委員会
今回の小委員会で注目されるべきところは、分割民営化ありきではないという点と、職場規律の確立を前面に打ち出した点が大きいと言えます。
その点が、従来の財政上の問題点だけに絞っていた今までの改革と大きく異なるところでした。
いわゆる、財政再建論ですと、収支均衡を図りますとそろばん勘定だけで、実際はダメでしたでずるずるときていたことであり、後の改革三人組と呼ばれた、井出・松田・葛西の国鉄幹部3名と三塚博議員とが、つながっていた点が大きいわけで、従来の再建はとかく一線を画すものであったことが理解していただけると思います。
次回は、他の政党の動きを見ていきたいと思います。
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国鉄があった時代 JNR-era
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