今回は大原社会問題研究所の記事などを参考に個人的な見解を加えていきたいとおもいます。
国鉄のあり方を大学の教授に委任するが・・・
鉄労は、民営・分割を容認する立場を比較的早い時期から示しており。 動労も、昭和61年夏、鉄労の京都大会に松崎委員長が出席する歴史的演出の中、組織の生き残りをかけて労使協調路線に踏み出すことを決定していく中で、国労は分割・民営化共に拒否するという方針を堅持していました。 国労は、国鉄のあり方を問うために昭和58(1983)年1月に「国鉄研究会(座長・高梨昌信州大学教授)」を書記長とした諮問機関を設置し国鉄のあるべき姿を諮問し。昭和59(1984)年10月5日に「国鉄の経営再建に関する提言」を国労に提出したが、その内容は民営化を容認する内容であり、国労が求めるものとは違うとして、却下したそうです。 その辺を国鉄労働年鑑第57集 特集 国鉄分割・民営化問題から引用させていただきます。ということで、国労はそれとは別に、「国鉄労使関係研究会(座長・兵藤釗東大教授)」を発足させ、昭和59(1984)年7月に報告書の提出をうけ、これを承認したとされていますが、 これらを受けて、国労は。 国労独自の提言案をまとめることになります。
国鉄当局の民営化容認案はマスコミからも反対される羽目に
なお、国労はこうした行為に対して当局に抗議を行なうと共に、国鉄再建への道(仮題)」に基づき国労幹部学校で討論を行ない、社会党・共産党、総評、全交運、学者、文化人など多くの人から意見を聴取、調整していました。
国労としては、新たに国労としての国鉄再建への道のりを示すという意気込みであったようですが、あくまでも分割・民営化を阻止するという観点から出発していることから、どこまで世論を喚起できるかにかかっていたと思われます。
- 「基本方策」は「公共企業体」故の制約などにその責任を転嫁し、経営当事者としての当局の経営責任を明確にしておらず、極めて官僚的な態度であり、まずすべきは労働者の雇用と生活について責任有る態度を取るべきである。
- 「基本方策」は国鉄の分割を否定しながら実質的に70社に上る子会社を設立(ローカル線を独立した会社とすると言う意味)するとしており、分割に繋がる方向を明確にしている。
- 経営収支に関して、1990年に4兆円の営業収支を目指しているが、毎年大幅な運賃値上げを前提とするものであり。利用者(国民)の負担を増大させるものである。
- 1990年度でなお67000人の余剰が出ることとし、その措置を政府に委ねているが、あくまでも国鉄当局としての問題である。
- 長期債務を国鉄の責任として9兆6000億円となっているが、その発生原因を明確にし、その責任も追及すべきである。
- 地方交通線は、別会社化・第3セクター化等を進めるとされている上m、毎年1兆9000億円の政府助成を受けるとしており、それだけの助成を得られるのであれば地方交通線の廃止や子会社化をせずとも現行の国鉄として運営できる。
個人的な見解ですが、長期債務の原因を追及すべきだというのは極めて正論だと言えますし、ローカル線の維持に政府から2兆円ほど貰うのであれば、限座に国鉄でも良いのではないかと言うのも説得力があります。
実際には、コロナ禍の現在JRも最大の赤字を出しているわけですが、30年前よりも大幅に輸送量の減少しているローカル線を維持していること、消費税の転嫁以外は、本州各社に関しては昭和61年以降改定を行なっていないこと。
三島会社についても消費税転嫁分以外では、一回程度の値上げでありそれ以外は関連事業の収入などで賄っていることを考慮すると、JR各社は優良な企業と言えるわけです。
実際の話として、民営化する際の監理委員会の予測でも、毎年の運賃値上げは避けられないという見解でしたので、国鉄が特殊会社になっても大幅な運賃値上げが行なわれるというのは、分割されても同じようなスキームで考えられていました。
まだこの時期は、動労も分割民営化には反対というスタンスであり、同じ総評として行動していました。
動労が、本格的に総評から離れていくのは、昭和61年の第38回衆議院選挙で、自民党が300議席の圧勝であったことから、国鉄の分割民営化は避けられないとして、一気に労使協調路線を全面に出していくこととなったわけです。
その辺は、松崎明と言う人物は「機を見るに敏」であったと言わざるを得ません。
続く
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