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国鉄労働組合史詳細解説 72

高木総裁とはどんな人だったのか?

皆様こんばんは、本日も少しだけ更新させていただきます。

今回は最初に高木総裁のことを少しだけ書かせていただこうと思います。高木総裁は、藤井松太郎総裁が、国鉄当局の見解として「条件付き付与」を示唆するなどしたことが、当時の政府自民党に弱腰であると言われて、辞任した後を受ける形で総裁に就任したもので、元大蔵省の事務次官としてのキャリアがあり、最初は本人も固辞していたそうですが、三木首相から要請を委任されて受けたとされています。なお、就任に際しては、「スト権の問題には一切触れるな。今は時期が悪いから」と囁かれたそうです。
私の履歴書 高木文雄 日経新聞平成6年3月より引用させていただきますと

藤井氏が辞めざるを得なぐなった経緯を考えても、政治色の強い問題だから自民党が挙げて応援してくれなければとても仕事はやれない。いくら福田氏と大平氏が賛成されても、運輸に詳しい国会議員に敬遠されたら何も出来ない。私の心配を聞いた三木首相は、井出一太郎官房長官海部俊樹官房副長官を呼んで支援が得られるよう指示した。海部氏が加藤六月氏ら数人の代議士に電話してバックアップを取り付け、結局私が引き受けることになってしまった。木村睦男運輸大臣も立ち会われて、「運輸省の諸君も全面応援する」と付け加えられた。

中略

51年2月5日に首相官邸で辞令をいただいた。その時、三木首相は私の耳元で
「スト権の問題には一切触れるな。今は時期が悪いから」とささやいた。
国鉄総裁室で藤井総裁から引き継ぎを受けた。藤井氏は
「私は一切意見の申し継ぎをいたしません。私の不始末であなたに迷惑をかけてしまった。ご自由にやってください」と言われた。
トンネル掘削の土木技師だが、国鉄に深い愛着をもつ古武士のような立派な人だった。いずれにせよ、また宮仕えに後戻りだ。

参考

高木文雄 第8代国鉄総裁

 

労働運動にはあえて触れず、営業中心に改革を進めた人物

ということで、国鉄総裁として労働運動に関しては触れずだったのですが、それでも2期(2期目は途中退任)勤めるなど国鉄総裁としての任期は、十河信二総裁に次いで2番目と言われています。
高木総裁の功罪としては、労働運動に関しては労使対決は避けて下記のように臨調答申に対しても、むしろ臨調を批判する立場の発言をしてきた傾向がありました。結果的にそれが2期目において、任期半ばで退任せざるを得なくなる結果を生むことになるのですが、それは少し先の話。

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組合問題に関しては触れなかったものにお、国鉄の運賃50%値上げ(結果的には更なる国鉄離れを招き失敗でありましたが)や地方交通線問題の問題(特定地方交通線と幹線を分離、運賃の地域別運賃導入など)や、大阪梅田駅ビルを皮切りに全国に駅ビルを積極的に建設したことや、山口線のSL復活、フルムーン切符の発売など、今までの国鉄では発想では出てこなかった制度などを作った功労者と言えます。


国鉄 CM 1982年 フルムーン夫婦グリーンパス 上原謙 高峰三枝子.mp4


再び私の履歴書 高木文雄 日経新聞平成6年3月より引用させていただきますと

私は国鉄の赤字を埋めるためには、レール以外の仕事も積極的に手掛け、地の利を生かした関連事業を展開してはどうかと考えていた。小林一三翁は宝塚歌劇場を造って、阪急電鉄の旅客収入の増加を図った。五島慶太老は東急目蒲線敷設と田園調布の都市開発を結び付けて、事業成功の神様とあがめられた。

多角経営は私の持論である。大阪梅田を皮切りにステーションビルをあちこちに展開した。「民業圧迫だ」と批判を受けたこともあったが、「皆さんの方が官業圧迫だ」と突っぱねた。新幹線の車内に大型パネル広告を出した。神戸ポートピア博覧会入場券と新幹線切符のセット販売、フルムーンの割引旅行、山口線でのSL走行などの企画も皆で考えた。

ちょっとした工夫でも、少しずつ経営に貢献できる。運転士はただ安全に運転するだけではだめだ、施設係は保線に専心するだけでは駄目だ、という風潮を広げていくのに気を配った。これらは、今日のJRに引き継がれたと考えている。東京駅で最近、「駅コン」と呼ぶコンサートを開いている。
私の時代には提案しても出来なかったことが実現した。お客さんとの触れ合いに目を向けるようになったJRの最近の姿勢を見ると感無量だ。人は忘れやすいが、当時の国鉄はそれほどお役所的だった。

しかし、先にも少し書きましたが。

上記のような素晴らしき実績はあったものの、臨調に対してはやや批判的で、下記のように国労からの質問に対して。

ブルトレ問題のように交渉で解決できない問題もあるが、労使関係を土台にして話しあっていく基本姿勢に変わりなく、意見交換の出来る場は増やしたい」「臨調はスジを書いただけでスジ道は再建監理委員会がつくることになる。
 民営化すればうまくいくというものではない。誤りのない判断をしてもらうため監査委員会に積極的に参加したい」「経営改善計画は輸送量の落ち込みから相当な手直しが必要だ」「緊急一一項目でいう新規採用抑制は、輸送の現実からやらざるを得ない。給与については昇給、賞与を含め、今日までの制度・慣行を守りつづけたい」などと述べた。
 ついで8月26日、国労は先の全国大会の決定方針に基づいてまとめた。「緊急基本要求を当局に申し入れた。それは、① 基本要求、勤務問題、労働衛生、外注問題、⑥賃金問題など35項目に及んでいたが、それらのうち「基本要求」は次のようになっていた。

 国鉄の分割・民営化に反対し、現行経営形態を維持すること。
 「現協」協約改定案にあたっての「一夏20日までまとまらなければ再締結しないという態度を すること。
 乗車券、割引証は長い歴史を持つ雇用条件・労働条件であり現行の諸条件を守ること。
 兼職議員の諸条件は憲法の精神に則った職権である。従って現行の諸条件を守ること。
 現場労使間の諸問題の解決に当たって現場労使間で十分協議し、意見の一致を期すこと。
 運賃値上げをやめ、通学・通勤割引率を引き上げること。
 不要不急の設備投資を抑制し、サービス向上、安全輸送の確保、都市通学・通勤輸送の充実を図るための投資
 東北・上越新幹線の開業に伴う赤字は政府の責任とすること。
 年金一元化の実態とそれにともなう国鉄共済の既得権を最大限維持し、国鉄職員の将来に対する不安を解消すること。

*********************以下は、国労の資料になります。**************************


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第1章、臨時=行革路線と国鉄労働組合

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 第2節 80年代前半の国労つぶし包囲網との闘い
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二 臨調基本答申に対する国労の対応とその後の闘い

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├○ 二 臨調基本答申に対する国労の対応とその後の闘い│
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 続き
 
 国労本部は、この大会で臨調の行革路線と対決して闘うために中央闘争委員会の設置を決め発足させたが、8月18日、本部三役と戦術委員が高木文雄総裁らと交渉を持ち、臨調答申の内容について説明を受けるとともに、当局の考え方を明らかにさせた。
 すなわち、交渉の冒頭で国労本部委員長は、「先の交渉の際にも総裁の見解をただしたが、この間の労使間、職場の緊張状態は解消されておらず、この現状認識について総裁の見解を示すべきだ。
また臨調答申が出されたが、これをどう国鉄当局として受け止めているのかを明らかにすべきではないか」などと質した。
 これに対して高木総裁は、「ブルトレ問題のように交渉で解決できない問題もあるが、労使関係を土台にして話しあっていく基本姿勢に変わりなく、意見交換の出来る場は増やしたい」「臨調はスジを書いただけでスジ道は再建監理委員会がつくることになる。
 民営化すればうまくいくというものではない。誤りのない判断をしてもらうため監査委員会に積極的に参加したい」「経営改善計画は輸送量の落ち込みから相当な手直しが必要だ」「緊急一一項目でいう新規採用抑制は、輸送の現実からやらざるを得ない。給与については昇給、賞与を含め、今日までの制度・慣行を守りつづけたい」などと述べた。
 ついで8月26日、国労は先の全国大会の決定方針に基づいてまとめた。「緊急基本要求を当局に申し入れた。それは、① 基本要求、勤務問題、労働衛生、外注問題、⑥賃金問題など35項目に及んでいたが、それらのうち「基本要求」は次のようになっていた。
 (1)国鉄の分割・民営化に反対し、現行経営形態を維持すること。
 (2)「現協」協約改定案にあたっての「一夏20日までまとまらなければ再締結しないという態度を すること。
 (3)乗車券、割引証は長い歴史を持つ雇用条件・労働条件であり現行の諸条件を守ること。
 (4)兼職議員の諸条件は憲法の精神に則った職権である。従って現行の諸条件を守ること。
 (5)現場労使間の諸問題の解決に当たって現場労使間で十分協議し、意見の一致を期すこと。
 (6)運賃値上げをやめ、通学・通勤割引率を引き上げること。
 (7)不要不急の設備投資を抑制し、サービス向上、安全輸送の確保、都市通学・通勤輸送の充実を図るための投資
 (8)東北・上越新幹線の開業に伴う赤字は政府の責任とすること。
 (9)年金一元化の実態とそれにともなう国鉄共済の既得権を最大限維持し、国鉄職員の将来に対する不安を解消すること。

 国労は、これらの緊急基本要求をかかげて10月27日~29日と11月1日~12日の2波にわたり、国鉄本社前で反動労務政策に反対する抗議集会、座り込みなどを連続して行なった。さらに、3月16日には「国鉄監理委設置法」案反対、仲裁の即時完全実施などを要求して、全地本の地区部拠点でストライキ、職場集会大衆行動などを実施した。

ただきますと