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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 番外編

 昭和39年というのはいろいろな意味でインパクトの有る年で有ったと言えましょう。

東海道新幹線の開業もそうですが、アジア初のオリンピックが東京で開催され(昭和15年 (1940年)に予定されていましたが、日華事変の影響などに中止されたという経緯があります。)アジア初の大会としても注目されました。

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画像wikipediaから

東京オリンピック開催に向けて、新幹線の他にも高速道路の整備が進められるなど経済成長を実感させるものとなり輸出も順調、そんな時代でした。

 

そして、この年、税務署は減価償却に関する改定を行いました。

これは、減価償却額を増やして内部留保を高めることで会社の体力を付けさせることを目的に行われたものでした。

鉄道車両も同様に原価償却の圧縮が行われ、20年→13年と半分近くになったことから、国鉄では多くの額を償却費に充てる必要がありました。(今まで20年で償却だったものを13年ですから償却期間の長いものなどは当然償却額が上がります。)

阪急の2300系は、それを受けて計画されたもので13年で置き換える予定としていたものの神戸線直通可能車両ということで重宝されたのか、2015年まで約半世紀走ることになりました。

こうした経済成長を背景として、本格的な高速道路時代の幕開けを迎え、国鉄を取り巻く環境は大きく変化することとなりました。

しかし、まだまだ貨物輸送等に見られる、国鉄に於ける旺盛な輸送事情は「昭和39年度の運輸状況」白書からもみる事ができそうです。

昭和39年の運輸白書から引用します。

  昭和39年度の日本経済は,景気調整期にあり,一方では,輸出の伸びに よる国際収支の改善,国民総生産の景気調整期としては異例の伸びがみられ,経済規模,生産規模は,一応の拡大傾向を示したにもかかわらず,他方,金融引締 めの影響による企業収益の悪化,倒産の増大,消費支出の伸びなやみ等の現象が現われ,とくに下半期において,その傾向は大きくなつた。
  このた め 〔1-1-1表〕に示すように39年度の貨物輸送量は26億3,300万トン,1,842億トンキロで,38年度に比較してそれぞれ10.7%,1.8% の増加にとどまり,38年度の増加率18.2%および12.0%に比べると増加率は鈍化しており,とくに年度後半の輸送量は停滞または後退の姿を示してい る。39年度の鉱工業生産指数は対前年度比13.5%の上昇を示したのに対し,輸送量の増加が少なかつたのは,39年度の生産の上昇が,輸出と在庫にかな りふり向けられたことの反映である。

 

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  これに対し,旅客輸送量はこのような景気の動向に大きな影響を受けることもなく,国民生活の向上と産業経済の発展を反映して安定した増加傾向を示し,39 年度において294億4,621万人,3,555億人キロとなり,38年度と比べて,それぞれ12.5%,10.4%の上昇を示し,38年度の対前年度比 増加率8.6%および10.9%と比べてほぼ同様の増加傾向を示した。
  以上述べた国内輸送の動向を輸送活動指数(付加価値ウェイト,昭和35 年=100)でみると 〔1-1-2図〕に示すように,貨物旅客の総合は201.7,貨物輸送は192.9,旅客輸送は218.6で38年度と比べてそれぞれ13.3% 増,9.4%増,21.5%増となつており,先に述べた輸送量の場合とやや異なつた姿を示しており,一方,月別には貨物輸送における9月以降の下半期の低 滞と,旅客輸送の堅調がみられる。

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