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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 130-2

総評にしてみれば、国労動労であり、全逓(郵政)共々、総評の左派を占める一角であり、いわば総評にしてみればお得意様ということになります。
そう言ったわけですから、総評としては国労の意向に沿うような提案がなされることになりました。

その中で、総評としては
> ①今の国鉄の経営危機をどう解決するか、②日本の将来の( 公共) 交通システムをどう設定するのかの2点から見る必要があるとし、監理委員会の再建 案は①の対応だけで、②の視点が欠落していると批判した。

とあるように、確かに国鉄の改革と言いながら、経営危機の解決だけがクローズアップされており、将来的に高速道路には税金による整備がなされるのに対して、国鉄の場合は公共工事でありながらその財源を独自の財源に求めるなど、いささか矛盾している部分が多々あったのも事実でした。
そうした意味では、総評の指摘も間違ってはいないと言えそうですが、昔から言われたことですが、公務員の常識、世間の非常識と揶揄されるほど、世間とのずれがある場合も多く、国鉄などもその例に漏れず、ストライキをすることで国民の理解を得られると思い込んでいる節があったのも事実でしょう。

改めて、総評が提唱した以下の点は、今の時代もう一度考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。

「われわれの国鉄改革の基本的視点」で、21世紀に向けて鉄道ネットワークを存続させるが
イカーや海運などの交通機関との間に新たな補完、連携関係に立つ鉄道ネットワークの形成、再編成が必要で有るという考え方は、もっと真剣に検討すべき事ではないでしょうか。
自動運転とかの開発は夢があるかもしれませんが、既存の仕組みを調整して、実行に移していく、そうしたことをじっくりと取り組んでこなかったことが今になって、ドライバーの不足であるとかと言った問題を生み出しているように感じます。

なお、総評が提案した国鉄再建案は、鉄道の全国ネットワークの維持と本社機能の一定の重要性を認めつつ、地方分権を強調した。経営形態、( 独立採算性は維持するが、必要限度の公的助成を前提とした) 新しい公共企業体ということで、引き続き政治に翻弄されると思われますが、国労の意向である分割民営化反対に沿ったものと言えそうですが、結局国労としては、総評案も社会党案も受け入れることは出来ず、かつ、動労は総評自体から脱退することとなりました。

もう少し、総評の再建案に関する資料が見つかれば改めてアップさせていただきます。

 

続く

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第2章、国鉄分割民営化攻撃と国労攻撃

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第六節 国労国鉄再建提言
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├○ 二 社会党、総評の国鉄再建提言│
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 社会党の「国鉄再建提言プログラム」 国労の諮問機関である「国鉄研究会」の提言が国労に提出された同じころ、社会党の「国鉄再建対策委員会」(小柳勇委員長)は国鉄再建案をまとめた。社会党国鉄の分割・民営化に当初反対していたが1984年10月5日にまとめた「国鉄再建プログラム」はそれまでとは異なった方向を打ち出した。国鉄の経営形態については、監理委員会の分割・民営の方針を「国鉄の再建でなく、解体をはかるものだ」と批判し、基本的には全国一社体制を取りながら、地域の実情にあわせた交通体系の整備を図ることができる「非分割・地域分権」を提言した。鉄道の全国ネットワークの「適切な維持、運営のためには全国一社制が必要。一方、地域の実情を適切に反映できる体制でなければならず、集権と分権を最適に組み合わせるべきだ」とした。
 だが、「経営合理化という観点からすると「国鉄の地域鉄道すべてが合理的、効率的だとはいえない」とし、「中・長期的には、地域交通の系統的整備は地域交通整備法を制定し、国・国鉄自治体で協議し、役割を明確にさせる」として、不採算の地方交通線の廃止を容認する方向も示した。また、新事業体の運営に関し、①最高の政策決定機関として全国鉄道政策委員会を設置する、②運賃は認可制とする、③運営費については地方ごとの独立採算制をとる、という方向を打ち出した。このほか国鉄の長期債務については、国鉄の経営責任をこえる構造的欠損は「政府の責任で処理すべきだ」とした。一方で、収益性のある資産やこれにかかわる債務は新事業体に引き継ぐ、との考えを示した。そして、国鉄再建のために「民営的手法」を積極的に導入し、経営形態については国が全額出資する特殊法人とするが、国が関与するのは経営の基本にかかわるものにとどめ、自主性を与える、との方向を示した。

 総評の「国鉄再建政策」

 総評は1985年2月7日、第72回臨時大会を開いた。大会初日の春闘方針提起のなかで事務局長は、国鉄の分割. 民営化問題を「今年最大の政治的イベント」と位置づけ、総評独自の国鉄再建案を3月までにまとめる方針を明らかにした。12月20日、総評拡大評議員会において総評提言素案) として「国鉄再建政策=21世紀へむけての鉄道」を発表し、この素案を7月の定期大会にむけて、全国1000ヵ所で討論集会を開いて検討を加えることを決定した。そして、加盟単産をはじめ関連組合や共闘組織と県評・地区分において検討を加え、さらに1000カ所討論集会での討論を重ねたうえで原案を練った。総評第73回定期大会( 7月15- 18日) には、この再建案の第2次案が提起された。
 その内容の概略は次のとおりである。
  総評としては分割・民営化路線に基本的に反対の立場をとるこ とを明らかにし、国民多数派の理解がえられるように努める、 とした。そして、国鉄再建監理委員会の基本認識と問題点では、 「今日われわれは交通システムとしての国鉄問題は2つの視点か らとらえなければならない」と述べ、①今の国鉄の経営危機をどう解決するか、②日本の将来の( 公共) 交通システムをどう設定するのかの2点から見る必要があるとし、監理委員会の再建案は①の対応だけで、②の視点が欠落していると批判した。そのうえで「われわれの国鉄改革の基本的視点」で、21世紀に向けて鉄道ネットワークを存続させるが1その場合マイカーや海運などの交通機関との間に新たな補完、連携関係に立つ鉄道ネットワークの形成、再編成が必要であると述べた。こうした中長期的展望をふまえたうえで、国鉄改革の基本的方向として、「①過去債務及び赤字原因にメスを入れて取り除くこと、②21世紀像に必要な将来の投資資金をいかに調達するか、の2点が解決されなければならないであろう。③またその中間期はできる限り支出をきりつめ、多くの民営手法をとり入れて、官僚的体質から脱皮し、経営基盤の確立をはかる必要がある」とした。
  つづいて、「国鉄改革のための具体的提案」と「国鉄経営の安定化のために」が述べられ、「国鉄経営の安定化のために」、①長期債務は政府の責任で処理する、②国鉄に対する過度の政治介入をあらため、国鉄の管理者に、定の経営責任を負わせる、③特定人件費は政府の責任で処理する、④通学定期の割引や身体障害者割引などの公共負担は国の負担で処理する、⑤国鉄の組織は新たな公共企業体とするが、分権化を徹底し、「本社は全 体的な経営戦略、地方機関の調整、技術開発、海外協力、全社的労働条件の決定などを行う」などを提案した。
 総評の国鉄再建政策は社会党の政策と同様に、鉄道の全国ネットワークの維持と本社機能の一定の重要性を認めつつ、地方分権を強調していた。経営形態については、( 独立採算性は維持するが、必要限度の公的助成を前提とした) 新しい公共企業体を提案しており、社会党特殊法人( 国が全額出資) という形態とは異なるが、両案ともこの時期はまだ民営化を明言していなかった。
 
続く