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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 85

久々に更新させていただきます。

今回は、国労の記事と言うよりも、当局の話を中心にさせていただきます。

再建監理員会の発足と緊急提言に関するお話の続きとなります。

国鉄当局としても、臨調の答申は、当初予想していた以上に厳しいものでした。

国鉄に対する国民の評価が決め手

電電公社【現・NTT】が積極的に真藤総裁以下民営化に進んだのとは対照的であり、電電公社は積極的に民営化に動くことで実質的に分割を免れ組織温存出来たのに対し、国鉄は結局地域分割並びに労働者の解雇と新会社による再雇用という形で行われました。これにより、結果的に多くの国鉄職員が職場を去ることになりました。

私の父親は管理職をしていたのですが、国鉄民営化の職員振り分けの責任感から採用辞退して退職しました。

52歳でした。

その後は、民間会社に就職してと言い流れだったのですが、父親もそうした意味では国鉄改革の被害者であったかもしれません。

さて、その当時の内容に関しては、国鉄の部内誌、国有鉄道 昭和57年9月号の記事に

「竹内常務理事に聞く 国鉄に対する国民の評価が決め手」というタイトルの記事で、冒頭に述べられています。

少し長いのですが全文引用させていただきます。

竹内
今回の基本答申も5月17日の臨調第4部会の中間報告と内容としてはほとんど変わっておりません。国鉄にとってたいへん厳しいものになっております。そういうふうに厳しくなった背景をまず私どもとしては,よくわきまえてかからなければならない。要するに,答申はひとにぎりの委員の独断,偏見と考えると大きなまちがいで,国民の多くの方から支持をうけて出されたものであるということです。大筋は中間報告と変わりなし経営形態の変更が国鉄再建のためどうしても必要だとしています。

いってみれば公社制度そのものについての不信感が基本にあるわけでして,要はそれが中途半端な制度であり,当事者能力がないために経営姿勢や労使関係がよろしくない。
その上に,現在国鉄が進めている経営改善計画も手ぬるいということで,さらにこれを深度化し,その上緊急に処置すべき11項目というものをかかげて,直ちに改善しなければならないといっておられるわけです。しかし,そうしたもろもろの問題の中でもとくに過去債務の問題,年金処理の問題,青函トンネルや本四架橋といった国家的大プロジェクトにかかわる経費負担をどう考えたらいいのかというような問題は,どうしても国鉄だけでは解決できない。

国鉄にとって、経営形態の変更を含む内容は正直承服できなかったと思われますが、それまでにもんまい都市のように繰り返される運賃値上げや、それ以前のスト権ストに見られるような国民無視のストライキは、いくら国労理論武装しても受け入れられることは無かったと言うことでした。

実際には、国鉄監査報告書を見ていただくと判りますが、

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 国内の鉱工業生産指数も国民総生産も増えているにも関わらず、国鉄の輸送量は減少を続け、国内輸送機関別に見ても国鉄だけが昭和45年以降一人負け続けていることが窺えます。

また、国鉄の貨物輸送に関しては、昭和45年からは車扱輸送は減り始め、順調な伸びを見せていたコンテナ輸送も昭和50年頃から横ばいもしくは減少するなど国鉄の輸送は昭和57年当時には昭和30年代と同程度の列車キロとなり、貨物輸送量の合計に至っては、昭和30年を下回る結果となっていました。

 

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 ただ、国鉄当局としても、公社制度そのものが中途半端な制度であり、当事者能力がないために経営姿勢や労使関係がよくない事を認めています。

国鉄だけに責任を押しつけるべき出ない問題も多く

しかし、その反面、「過去債務の問題,年金処理の問題,青函トンネルや本四架橋といった国家的大プロジェクトにかかわる経費負担をどう考えたらいいのかというような問題は,どうしても国鉄だけでは解決できない。」とある意味開き直りのようにも取れますが、実際に過去債務の問題を考えると、その多くは昭和30年代の輸送力増強や通勤通学輸送への投資が行われていたことや、9割近くの割引と言われた学生運賃の割引や、大幅な定期運賃割引に関する問題など、昭和30年代から問題視されていた事がここに来て一気に吹き出した訳であり、国鉄が悪いとか、組合が悪いと言う言葉だけで片付けられる問題ではありませんでした。

例えば、

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国有鉄道昭和57年9月から引用 特定退職手当及び年金の増加が目立ちます。
  • 年金処理の問題に関しては、戦後、満州鉄道や陸海軍工廠の技術者の受入たことによる年金受給の問題があり、共済年金の中で一番最初にパンクしたのが国鉄共済であり、結局他の公務員共済が助ける形を取らざるを得なくなりました。
  • 青函トンネルや本四架橋といった国家的大プロジェクトにかかわる経費負担についても、開通前から議論がなされ、特に青函トンネルの維持費が問題となりました。核シェルターに活用するといった案や、果ては破壊して埋めてしまえと言った過激な発言もありました。

現在の青函トンネルは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構がトンネルを所有していますし、備讃瀬戸大橋【瀬戸大橋線】に関しては、鉄道施設は日本高速道路保有・債務返済機構が所有となっていますが、国鉄が存続していた場合はこれらの施設に関しても国鉄に応分の負担【トンネルは全額負担】となっていた可能性があるわけで、その辺が不満が、上記のような発言に繋がったのではないかと推測されますが、臨調の答申は、国労だけで無く、現状維持したい国鉄当局にしても不満が残るものであったことが窺えます。

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