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鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 114

久々に更新させていただきます。

二公社が民営化された初めての、'85年春闘

昭和60年の春闘は、4月1日からで「電電公社」「専売公社」がそれぞれ民営化されたことから、一公社四現業による賃金交渉となりました。ここで、国労は、85春闘の要求として2万8000円、12.9%を掲げ、国鉄当局との交渉に臨んだ。

国労は書いていますが。

この辺について、国鉄当局側の資料がありますので、そちらからも引用してみたいいと思います。

国有鉄道という国鉄部内紙から引用してみたいと思います。

公労委(公共企業体労働委員会、掘秀夫会長〉は、さる5月30日、国鉄及び4現業職員の本年度の賃金引き上げについて仲裁裁定を提示した。裁定の内容は、職員の基準内賃金を、本年4月1日以降、1人当たり1.80%相当額プラス1,680円の原資をもって引き上げるというもので、4月26日の調停委員長見解と同じ内容である。国鉄の場合、5,564円、2.58%(定昇込み10,398円、4.82 %)となり、昨年を額、率ともに上回る賃上げとなった。これにより、焦点は16条案件として国会に一括付議された仲裁裁定の取り扱いに移ることとなった。

ここで書かれている16条案件とは、公共企業体労働関係法のことであり、国鉄の賃金にあっては、「予算上又は資金上、不可能な資金の支出を

第十六条 公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によつて所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない

2 前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中のときは、国会召集後五日以内に付議しなければならない。国会による承認があつたときは、この協定は、それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生するものとする。

 

60年度一公社四現業のベースアップ

60年度一公社四現業のベースアップ

当局側と国労側で異なる主張

’85年の春闘も、ストなしの春闘となりましたが、当初国労は、4月17日に3年ぶりのストライキを計画していたようですが、政府が違法なストライキを背景とする交渉には一切応じないという強い態度で臨むとともに、政府が民間との格差なしの有額回答を行うと示したため、国労ストライキを中止したとされていますが、その辺は国労の記述では窺えません。

更に、今回の有額回答の背景には、国労も記述していますが、「経営改善計画の具体的推進について」政府が了承したこと、ひいては国民が承認したということになります。

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その辺のところは、国労の記述では、下記のようになっています。

国労の記述から引用したいと思います。

4月19日、国鉄当局は運輸大臣に「経営改善計画の具体的推進について」を提出し、政府および国民の理解を得られたとして、1230円、0.57%有額回答を示してきた。この回答を不満として、国労は公労委に調停申請を行った。公労委の調停作業が重ねられ、4月26日に調停委員長見解として4.82%、1万398円が示されたが、調停不調となった。賃上げ問題は仲裁に移行し、5月30日にいたり「見解」と同じ内容の仲裁裁定が提示された。この裁定は、83、84春闘と同様に民間賃金相場を下回り、民間準拠がなされていなかった。

 「経営改善計画の具体的推進について」とはどのようなものか

ここで、国鉄当局が提出したとされる、「経営改善計画の具体的推進について」とはそのようなものだったのでしょうか。

以下に簡記したいと思います

  1. 職場規律の確立
  2. 合理化の推進
  3. 余剰人員対策
  4. 増収,経費節減

具体的には、以下のような内容となります。

  • 職場規律の確立については、経営施策の基盤であり、国鉄再建の前提であることから、悪慣行の是正、フロントサービスの向上、管理体制の充実、職場総点検の実施の4点の一層の推進をはかり,成果を積み重ねる
  • 合理化の推進については、スリム化と新規採用の抑制で三万人以上の要員を削減するとしています
  • 余剰人員対策については、「退職制度の見直し」、「休職制度の改訂・拡充」、「派遣制度の拡充」とともに、直営事業の拡大(直営売店等)や外注業務の一時的な直営実施などで、人員の有効活用を図るとしています
  • 増収、経費節減については、積極的な増収活動と、あらゆる角度から経費全般にわたって見直しを行う

となっています、経費節減の項目では、事務所等の照明の節電はもとより、閑散期の編成縮小や、上越新幹線などでの夜間「き電停止」などあらゆる節電対策が行われていました。

下記は昭和58年から実施された施策ですが、夜間時間帯のき電停止などを行っていたそうです。

 東北上越新幹線終夜時間帯のき電停止開始 11/13

電力費節約のため毎月3日程度き電停止の日を設け、年間2000万円を節約する

 引用 国鉄があった時代 昭和58年後半編

 なお、当局側は、有額回答が得られた背景には、「経営改善計画」が認められたからであることを特に強調しています。

以下、国有鉄道の記事から抜粋させていただきます。

f:id:whitecat_kat:20191012000920p:plain

国有鉄道昭和60年7月号 から引用

 

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*************************以下、国労の記事から*********************************

 

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第2章、国鉄分割民営化攻撃と国労攻撃

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 第4節 第四節八〇年代前半の賃金・労働条件を      
       めぐる闘いと専制労務管理への反撃
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 四 団体交渉再開と雇用安定協約の締結

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├○ 二 八三、八四、八五春闘 │
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全電通、全専売の公労協脱会下の85春闘
1985年4月1日から電電公社と専売公社は民営化し、それぞれ日本電信電話㈱(NTT)、日本たばこ産業㈱(JT)として発足し、全電通と全たばこは民間グループとして春闘に参加することになり、国鉄の分割・民営化が政治課題の中心になるという状況で85春闘は闘われた。労働4団体と全民労協の要求基準は7%以上とされた。85国民春闘の方針を決定する総評の第72回臨時全国大会は、2月7、8両日開催された。冒頭の挨拶で黒川総評議長は「防衛の闘いから生活向上をめざして反撃に転ずる春闘」と位置づけた。
 4月にはいると民間労働組合の妥結が相次いだ。4月10日に電機5.5%、自動車5%台が示されたが、鉄鋼と造船が3%台の低額一発回答に押さえ込まれた。私鉄はストを構え、5.71%、1万2500円の回答を引き出し、注目された。公労協は、4月16日の政労交渉を通して、民間賃金の動向を反映した有額回答、格差問題について一定の前進がはかられたとして、4.17ストを中止した。
 国労は、85春闘の要求として2万8000円、12.9%を掲げ、国鉄当局との交渉に臨んだ。4月19日、国鉄当局は運輸大臣に「経営改善計画の具体的推進について」を提出し、政府および国民の理解を得られたとして、1230円、0.57%有額回答を示してきた。この回答を不満として、国労は公労委に調停申請を行った。公労委の調停作業が重ねられ、4月26日に調停委員長見解として4.82%、1万398円が示されたが、調停不調となった。賃上げ問題は仲裁に移行し、5月30日にいたり「見解」と同じ内容の仲裁裁定が提示された。この裁定は、83、84春闘と同様に民間賃金相場を下回り、民間準拠がなされていなかった。
 この仲裁裁定について政府は、6月7日の給与関係閣僚会議で国会の「議決案件」とし102国会に付議したが、継続審議となった。この事態に対し、公労協と総評は仲裁裁定の即時完全実施を要求し折衝を重ねた結果、政府は7月30日に給与関係閣僚会議を開催し、配分交渉に入るよう関係当局に指示した。この指示は、配分交渉の妥結をもって「議決案件の取り下げを行う」という意味をもつものであった。国労は85春闘総括において、国民春闘の再構築をめざして闘っていくが、現状を打破するための課題として、次の諸点をあげた。 「第一に政策・制度要求を賃金闘争と文字どおり結合し、統一的に闘うことである。第2に政策・制度に大きな影響を与える国家予算にたいして、概算要求の段階から積極的な要求をたてて闘うことである。第3は、秋からの闘いを継続し、発展させ、国民生活に深く結び付いた要求で、壮大な国民的統一行動を繰り返す力量を蓄積することである。われわれは、国鉄の分割・民営化に反対し、公共交通を守る要求を中心に、教育・
地方自治体などの反行革諸課題を地域ぐるみで闘うことからこの方向をめざすこととする」。 

続く