この辺は、これからは「公企労レポート」なども参照しながら、お話を進めさせていただきます。
国労の的大会の前後のお話をさせていただくと、国鉄総裁が元国鉄OBの仁杉氏から元運輸事務次官の杉浦氏に中曽根首相の肝いりで交代したわけですが、これは分割民営化の債権管理委員会の方針に明確な態度を示さない杉浦氏に対して放った刺客のようなもので、国鉄の組織は一気に分割民営化に舵を切らざるを得ない雰囲気となりました。
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共闘成熟のために共通の要求を基本とした共同行動を進める
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そのために双方の信頼関係の回復に努める
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雇用の確保を最大限に考えていく
ただし、当時の国労と動労はスト権ストの頃や、生産性運動の頃のような共闘とは行かず、動労からすれば「決定できない国労」「現実を見ていない国労」という点で非常に不信感を持っていたようです。
特に、動労が雇用の確保という点から「余剰人員対策にも積極的に応じることで、雇用の確保が出来る」としていたのに対して、国労の考え方では、「当局は必要とあれば、組合側が協力体制を取っても。首切りが行われるとしており、全く双方の主張は平行線どころか、全く違う空間を走っているように見えます。
さらに、国労としては最後の砦はストライキを辞さないとしており、動労に対しても積極的に働きかけるとしています。
しかし、昭和61年7月の衆参同日選挙による300議席を超える自民党圧勝で国鉄分割民営化は既定事項と言って良い状況となり、動労と国労の温度差は更に大きくなりました。
国労は、分割民営化を国民運動と捉え、自らは黒子に徹するとしていますが。
下の項目に関しては、いささか左翼的発想と言えるのですが、改めて右派・左派と言う考え方ではなく、国益という視点で考えたとき、短期的に国鉄が赤字だから売却するのは、「独占資本への国鉄の払い下げ」という発想では、当時の保守と呼ばれる人たちには受け入れられなかったであろと考えられます。実際に総括の中で、項目③にあるように
③ この闘いは、総評を中心とする全国各地の労働組合に支援され、民主勢力との連帯によって前進することができた。
とあるごとく、民主勢力との連帯という点に留まっており、国民的世論の形成に至っていなかったと言えます。
少なくとも、ローカル線の存廃問題が議論された最後の再建法の時点で国労が国民的運動として国民のための運動としてストライキで訴えるという手法でなかったならばまた違った側面になっていたように思えます。
① 500万人を超す署名をわずか3カ月余の短期間で集めたことは、分割・民営化反対の国民運動の頂点を形成したものである。
② この闘いは、ヤミ・カラ攻撃や親方日の丸論、労働者のストが赤字の元凶であるという、いわゆる国賊論や職場交渉権の一方的剥奪、職場専制支配に抗して団結を強め粘り強く闘ってきた国労と国労組合員の不退転の決意と闘争の成果である。
③ この闘いは、総評を中心とする全国各地の労働組合に支援され、民主勢力との連帯によって前進することができた。
④ この闘いのなかで、行政改革の反国民的本質が明確となり、国鉄改革とは国鉄の破壊と独占資本への国鉄の払い下げ、利権あさりであることも明らかとなった。
⑤ 監理委員会答申の矛盾が国会で追及され、マスコミで暴露され、これが真の国鉄改革なのかという疑念が国民のなかに浸透したこと。
国労は当時最大の労働運動組織総評の力を背景に、国鉄「分割・民営化」を最大の課題として反対運動を続けて、早期に5000万人署名運動を達成したとして総括していますがそこに驕りはなかったのか?と言う視点から見ていく必要もありそうです。
国労は必ずしも一枚岩でない、地域に見られる温度差
実際に。5000万署名運動は総評の協力もあり強力に進められ、それに対しては以下のように総括しているものの、分会での温度差など国労が必ずしも一枚岩ではない(この点は、国労が職能別組合とも言える動労とは対照的であり、ある程度やむを得ないところもあるのですが、結果的に結成当初からの派閥争い及び結果的に決められない組織(玉虫色の決着で終わらせる)は、この時点でも残っていたように見えます。
さらに、今後の国労運動の克服すべき課題としては、以下の諸点が指摘された。
① 「分割・民営化反対」か「分割反対と民営的手法による効率化」という基本戦略の統一が不充分なため運動に一部混乱を生じたこと。
② 省略
③ 分会活動の不活発、活動家の不足によって部分的にではあれ、組合員の参加が不充分であったこと。
自らも指摘しているように、基本戦略の統一が不十分であったことを認めているほか、分会活動が不活発で有ったことや活動家が少ないといった問題を指摘していますが、こうした点も国労の性格(組織が多様な意見を受け入れることで結果的に曖昧なものとなってしまうことを示していると言えます)
守るべきものは職場なのか。政治なのか?
更に、今回の運動に対する総括を見ていますと。
省略した2番目の項目では、以下のように書かれていました。
鉄労が民社党・自民党と結託して地方議会で国鉄「分割・民営化」促進の議決を進めたとされているのですが。民社党*1や鉄労がと批判している点で、国民的運動という中で特定政党に対する批判を行うことで、国民的信頼を得にくかったと考えてしまいます。
最後に
当時の世論を概括するとき、国鉄という組織は潰せないと言うのが常識であり、その時点でローカル線廃止反対を地方と連携して組合が積極的に推進することも、ストライキではなく地方へのサービス向上運動という視点で行うことは、国労自身では難しかったと言えます、その背景には国労が、駅業務から非現業務全体を擁し、更に組織内での乱立する派閥(右派と呼ばれるグループから左派と呼ばれるグループ更には、共産党(初期の共産党を支持するグループ)を中心としたグループもあれば、新生民同派(民同右派)と呼ばれるグループなどが乱立していたわけで、こうした多数の意見が存在することが結果的には国労は、重要事項に関して決定しずらい組織になっていました。
この点は、動労が国労から機関車労組として分裂した頃から動労には一つの守るべきものがはっきりしていた(機関士を中心とした動力車乗務員の職場確保)のとは対照的であり、その結果動労は、積極的にその動きを察知して地方における頻発運転の提案や、貨物増送運動などの方策が取り得た点と比べると非常に対照的に見えます。
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国鉄があった時代 JNR-era
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第三章 分割・民営化攻撃の本格化と国労闘争
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第三節 5000万署名運動
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├○ 三 5000万署名運動の成果と総括 │
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① 500万人を超す署名をわずか3カ月余の短期間で集めたことは、分割・民営化反対の国民運動の頂点を形成したものである。
② この闘いは、ヤミ・カラ攻撃や親方日の丸論、労働者のストが赤字の元凶であるという、いわゆる国賊論や職場交渉権の一方的剥奪、職場専制支配に抗して団結を強め粘り強く闘ってきた国労と国労組合員の不退転の決意と闘争の成果である。
③ この闘いは、総評を中心とする全国各地の労働組合に支援され、民主勢力との連帯によって前進することができた。
④ この闘いのなかで、行政改革の反国民的本質が明確となり、国鉄改革とは国鉄の破壊と独占資本への国鉄の払い下げ、利権あさりであることも明らかとなった。
⑤ 監理委員会答申の矛盾が国会で追及され、マスコミで暴露され、これが真の国鉄改革なのかという疑念が国民のなかに浸透したこと。
また、このような闘いの成果は、総評傘下13単産による反行革共闘の推進、国鉄闘争を支援し連帯する共闘組織の活動、ローカル線廃止反対など「国民の足を守る」共闘運動を基盤とし、総評と地県評に国鉄再建闘争本部が設置され、広範な諸階層の結集を容易にした。そして、北海道、四国、九州をはじめ、全国いたるところで労働者の連帯と共闘が大きく前進した。他方、国労組織内では、この運動が職場・分会活動の活性化と組織づくりに大きく寄与し、家族会・退職者組合との結合をもたらし、地域住民との結びつきを強化して企業の枠を超えた運動を可能としたと総括された。
さらに、今後の国労運動の克服すべき課題としては、以下の諸点が指摘された。
① 「分割・民営化反対」か「分割反対と民営的手法による効率化」という基本戦略の統一が不充分なため運動に一部混乱を生じたこと。
② 民社党、鉄労が自民党と結託し、国鉄の「分割・民営化」促進の地方議会決議が一部の自治体で採択されたこと。
③ 分会活動の不活発、活動家の不足によって部分的にではあれ、組合員の参加が不充分であったこと。
次いで、5000万署名運動の成果を引き継いで、当面の闘争方針が提起された
① 総評・公労協・全交運の闘う方針の徹底と組織の確立をはかる。
② 署名の「成果・力」を政治的・社会的に強めるため、国鉄問題と平和・民主主義の課題を結合し、全国民的な共闘の結集をはかる。
③ 広く学者・文化人・ジャーナリストなどを結集し、地方の「足を守る共闘組織」を中心に利権あさりを監視、摘発する。
④ 政府の「分割・民営化」の立法化を阻止するため、国会内で社会党、共産党に「分割・民営化」反対の立法葉の策定を要請する。
⑤ 国会で監理委員会答申の矛盾を暴露して追及し、国民への宣伝を強める。
⑥ 住民投票の請求運動を組織するよう総評、社会党、共産党その他の民主団体勢力に働きかける。
⑦ 「国鉄に働いた経験のあるすべての人」へ「国鉄を守る」運動に結集するよう呼びかける。
⑧ 「分割・民営化」法案の上程時、審議のヤマ場、強行採決の動向など、ヤマ場にはストライキ・非協力・順法闘争を組織する。
⑨ 世界の鉄道労組との連帯をいっそう強めるための行動を行う。
続く