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日本国有鉄道 労働運動史

鉄道ジャーナリストこと、blackcatの国鉄労働運動史

国鉄労働組合史詳細解説 98

さて、本日は59・2ダイヤ改正に伴い発生するであろう過員に対し、国鉄当局は退職前提の特別休職を中心に休職を者の募集を開始したが、それに対して国労は、強く反発する反面、組織温存を図りたい、動労、鉄労、全施労は当局の要求を早々と受け入れ、さらに早期に募集開始を迫る構図となり、国労側にプレッシャーをかけることになります。
そうした中で、一定の整理がはかれたとして国労も改革三労組(動労・鉄労・全施労)とほぼ足並みを揃える形で休職者募集が開始されることになります。
 
現在、この辺に関して当局視点だけではなく、国労なり動労の視点での資料を集めようとしているのですが、適切な資料が中々適切な資料がありませんので、当局視点の資料からの類推になりますが、ご了承ください。
 

「特例休職」募集提案の妥結

国労は、退職者の募集に際しては、組合の記述では、
国鉄の分割・民営化、余剰人員対策「三項目」と新たな過員をつくりだす合理化事業案に反対し、対決して闘うことを軸にした方針を決定した。
 この大会決定にもとづき、24日、8月31日のストライキを中心とする闘争指令1号を発した。さらに、27日、募集中止を求めて公労委に斡旋を申請した。
とされていますが、実はその辺の資料を今後探そうとしているのでどのような内容であったか中々見られないのですが、この頃になってきますと、かなり柔軟と言いますか、国労も現実主義的な動きをするようになっており、この話題とは直接関係ないですが、国労の大会では、運動方針案を次のように運動方針案に記載していました。
われわれは、労働条件の改悪や「合理化」強行のための「効率化」にはあくまでも反対するが、労働者に犠牲をもたらさない限り、「効率化」に一面的には反対しない。このような立場から「効率化」に対する具体的な対応について討議するとともに、闘いを進めていく(原文のまま〉。
運動方針案についての集約意見で武藤書記長は「大会で決めた/l寺とそれを実行する時では、情勢や条件が違ってくる。基本をねじ曲げてはいけないが、戦術の判断は執行部にまかされていいと思う」と述べている。
ただし、こうした方針に対しては、当然の事ながら代議員から、「当局の合理化計画に沿ったものになりやすい」という反対意見が続いたたとされており、国労執行部は、一応保留とするという態度を示していますが、国労と言う組織が一枚岩でないだけにその辺は難しい舵取りを迫られていたのであろうと容易に推測できます。

国労当局としても最優先課題は、組合員の雇用

特に、国労としても組合員の雇用を守るという点は大事にしていかねばならない問題であったことから、
① 強制・強要の排除
 ② 申し出を行った者に対する平等の扱い
 ③ 不承認年休の買い上げ
 ④ 乗車証の取り扱い
 ⑤ 健康診断の扱い
 ⑥ 期末手当の扱い
 ⑦ 特定退職協定交渉との分離
 ⑧ 配転問題
 ⑨ 欠員補充
 など一定の前進した回答を引き出したので協定化をはかり妥結した。
いわゆる条件闘争に導いたと言えますが、結果的には、国労、全動労は約一週間遅れの9月21日から退職者の募集が開始されました。

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休職制度の概要、共済組合は休職中もその資格は保有すると明記されています。

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上記は、特定退職者協定の退職条件と在職条件
55歳の退職の場合、10号奉【約2年半勤務相当の昇格に相当】がアップされる他、年度末年齢が55歳だけ4/1となっているのは、昇給の関係と思われます。
公務員等は、4月1日付で昇給【基本は4号奉】するための措置で、管理者などは退職に際しては6月末で退職するのが一般的でした。
これは、6月1日に在職【実際には年休消化などで殆ど出勤していない】していることで、賞与の支給条件を満たすためでした。
なお、一般職員は3月末の退職が一般的で有り、この辺は役職者と担当で差が付けられていました。
 

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第2章、国鉄分割民営化攻撃と国労攻撃

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 第3節 59・2ダイヤ改正後の余剰人員対策をめぐる交渉
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 一 余剰人員対策の交渉と闘い

┌───────────────┐
├○ 「特例休職」募集提案の妥結│
└───────────────┘

続き


 こうした分析にもとづいて国鉄の分割・民営化、余剰人員対策「三項目」と新たな過員をつくりだす合理化事業案に反対し、対決して闘うことを軸にした方針を決定した。
 この大会決定にもとづき、24日、8月31日のストライキを中心とする闘争指令1号を発した。さらに、27日、募集中止を求めて公労委に斡旋を申請した。29日、公労委は国労の主張をほぼ認めた斡旋案を提示したので、国労は斡旋案を受諾し、ストライキの中止を指令した。ところが国鉄当局は30日にこの斡旋案を受諾しておきながら、その40分後に再び、「斡旋案を受諾したので、9月15日から休職募集を開始したい」と提案してきたのである。国労はかかる当局の態度に対し、団交否認と同一であるとして強く抗議し、撤回を求めた。
 その後「特例休職」について交渉をつづけたが、9月11日に当局から修正提案がなされた。
 ① 84年度末の限って、56歳以上の退職条件と55歳以上の在職条件については従来通りの扱いとする。
 ② 84年度の退職者に限り、満56歳以上の者の退職条件は従前の例による。
 ③ 85年度に限り、満55歳以上の在職条件は、なお従前の例による、という提案であった。

 9月13日には、動労、全施労、鉄労が先行妥結し、15日からの募集開始を当局に迫るという状況のもとで、国労労働協約の遵守を求め。要求の前進をめざして交渉を進めた。9月19日になって、国労は前進した事項として、
 ① 強制・強要の排除
 ② 申し出を行った者に対する平等の扱い
 ③ 不承認年休の買い上げ
 ④ 乗車証の取り扱い
 ⑤ 健康診断の扱い
 ⑥ 期末手当の扱い
 ⑦ 特定退職協定交渉との分離
 ⑧ 配転問題
 ⑨ 欠員補充
 など一定の前進した回答を引き出したので協定化をはかり妥結した。この結果、特例休職については動労・全施労・鉄労の三組合については9月15日から、国労、全動労については、21日から募集が始まった。

続く
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